(前橋プレ公演で、ティボルトを刺殺したロミオが捕らわれる、緊迫のシーン)
今年度における3都市6公演の、こけら落としである太田公演 (カルトピアホール) が、1か月後に迫ったアラムニーA’s。
日曜日は、玉村町に全員集合。
カーテンコールを含めた、ミュージカル「ロミオとジュリエット」テネレッツァ組の完全通しを、照明と音響の業者を迎えて行った。
私はバルコニーで使用する、「花台」などの舞台道具を車に積みこんで参加。
すでに基礎の発声や体つくりは済んでいて、まず2幕ラストに加えるオリジナル楽曲、「今」の歌唱とダンス構成を見せてもらう。
自分たちで書き起こした歌詞に、スーパーバイザー中村さんの手配により、専門家が曲をつけた作品である。
本来であれば、霊廟に横たわるロミオとジュリエットを取り囲んでの大合唱「罪」でどん帳が下りるのであるが、亜空間として4人の死者も加わり、24thのメッセージを込めた歌唱となる。
「いま 永久となる交わした約束 愛だけを信じ生きられる世界」
今を生きる大学生たちが、このように美しく歌い出し、観客の琴線に触れるような、「手を取り 平和を永遠に」で結ぶ。
本来、モンタギュー家とキャピレット家の対立が、死によってあがなわれ和解。
シェイクスピアの戯曲はそれで完結する。
しかし、アラムニーA’sは、それだけにとどまらず、混沌として今も多くの命が失われる世界への心のメッセージとして、オリジナル曲を加えたかったのだろう。
休憩に入り、私は業者と脚本合わせを行い、コンセンサスを得る。
そして、いよいよ年末以来の、テネレッツァ組通し稽古へ。
冬休みを活用し、集中稽古を行った成果が各所に見られ、年末でのダメ出しや不足部分を補って、役の解釈が高まったのはとてもいい。
第一幕の、華やかなダンスパーティから一転。
初恋の高揚感がめくるめく、美しいバルコニーシーン。
淑女ロザラインがけん引する、十字架に見守られた二人だけの結婚式。
ミュージカルの醍醐味である、大集団が歌い上げる心を洗うような「愛」。
第二幕に入っても、ドラマ性は高く維持され、若々しい疾走感は健在である。
悲劇であるが、シェイクスピアの四大悲劇に加わらないのは、若さゆえの理想を持ち、現実から離れて恋の奔流に身を投じる、強いロマンチシズムが香り立つから。
いくつかのセリフのすべりや、立ち位置の明確さ。体のキレは調整しなければならないが、アマチュアイズムを継承する心意気はしっかり伝わる。
本番を視野に入れたアラムニーA’sの、さらなるチャレンジ精神に期待したい。