2時間サスペンスを彷彿とさせる

キャストの配置あせる

バラバラだった家族が

絆を取り戻し、

感動するうちに何もかも

解決してしまった第2話あせる

 

それもこれも、

登記名義人である息子さんが

ミネルヴァ不動産で行った売買契約が

破棄されたからでした。

 

その理由が、

「使用貸借」(民法593条)の成立。

 

賃料の支払いが生じる(有償)契約の

賃貸借(同601条以下)と異なり、

無償で貸し借りする契約のことです。

 

今回は、

登記名義人であり当該不動産の

所有者である息子さんが貸主。

そして、

おじいさん、それを介護するお孫さんが

借主となり、両者に使用貸借契約が

事実上成立しているというものでした。

 

使用貸借というのは、

無償で利用させているので、

貸主は原則として

いつでも目的物の返還を要求できます

(同597条3項)

ただし…

 

・契約に定めた時期(同条1項)

・返還の時期の定めがない場合は、契約に定めた目的に従った使用・収益が終わったとき(同条2項)

 

これらに該当すると、

時期や使用・収益が終わらないと、

契約の終了を主張できないとされてます。

 

 

今回の場合は、

「親子間での使用貸借契約の成立」と、

「第三者へ転売された場合」にどうなるかはてなマーク

2つの問題があります。

 

 

「親子間での使用貸借契約の成立」

 

家族なのだから、

その家に住む権利あるだろ!?

そう一般的には思います。

 

その法的根拠となるのが、

民法877条です。

 

民法877条

直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある。

 

今回の場合、

この方は…

直系血族である親、子にあたる

この2人を扶養する義務があります。

おじいさんは病気で苦しみ働けない。

お孫さんの方は成人しているとはいえ、

おじいさんの介護で貯蓄まで減らしてます。

 

経済的に苦しい2人は、

他所での生活が困難な状況にあります。

 

そんな2人を所有者である息子さんは、

長年居住することを黙認してきました。

(永瀬財地が呟いていた公共料金の領収書などは、長年の居住を証明するために必要だったのです。)

 

これは、597条2項

「返還の時期を定め」ずに使用収益させてきたことに該当します。

 

この家に居住する目的は、

おじいさんの病気療養と、介護のためです。

 

これまで居住を黙認してきた経緯を踏まえれば、

病気療養中のおじいさんだけでなく、

扶養義務を負うべき所有者に変わって、

介護を行ってるお孫さんとも、

使用貸借契約が事実上成立していることになる。

 

というのが、

所有者に送られてきた

内容証明の主張と思われます。

 

使用貸借は、

第三者への目的外使用・収益など借主に違反があった場合は、無催告解除ができます。(同594条)

が…

 

今回はそのような事情も認められません。

 

しかし、

親子間で絶縁関係となって信頼関係が破綻してるから、使用貸借契約は終了してると主張することも考えられます(同597条2項但書類推適用)

 

この場合は、

扶養義務を負う所有者がその義務を放棄して

立ち退きを主張することは、

「権利濫用」(同1条3項)にあたると考えられます。

 

 

この権利濫用が当てはまりそうなのが、

「第三者へ転売された場合」です。

 

物語上は、所有者である父親は、

既にミネルヴァ不動産に売却の署名を済ませてます。

 

この場面は、

ミネルヴァ不動産と、

買主である介護施設オーナーが

売買契約を行ってる場面でした。

 

仮に売買契約が成立し、

第三者である介護施設オーナーに

所有権が移転した場合、

おじいさんとお孫さんへ明渡請求はできるのでしょうかはてなマーク

 

借地借家法で保護されている賃貸借と異なり、

使用貸借には第三者への対抗要件は無く、

明渡に応じざるを得ないとも思えます。

 

無償である使用貸借の居住者がいる状態で、不動産を購入した第三者が行った明渡請求が認められるかはてなマーク

コチラに紹介されてる

ー 東京地裁 平29年9月7日(判時2409号46頁)は、

土地を購入した買主による建物を所有して土地を無償で使用する借主への明渡請求を権利濫用として認めないものでした。

 

この際に、

借主が…

幼少から住み続けて、現在高齢であり健康状態も良くないなど、様々な事情が考慮されました。

 

この控訴審である

ー 東京高裁 平30年5月23日(判時2409号42頁)は、

立ち退き料を支払うことで権利濫用には当たらないとして、明渡を認めてます。

 

 

ここまで「使用貸借」について書いてきました。

 

この家族がどうなったかはてなマーク

この場面で月下ちゃんが説明してます。

「大助さん(所有者である息子さん)家具会社に就職して、今の家に住みながら頑張って借金返していくそうです。」

 

あせる

 

会社が倒産して借金を抱えたので、

まとまった金を得るべくあの家の

売却を急いだと思うんですよあせる

 

家を売却したほうが、

まとまったお金も入るし、

借金返済もできるし、

3人の生活再建にはソチラの方が

良いとも思えるのですがあせる

 

なんだったら、

この介護施設のオーナーは、

契約を破棄しないで、

おじいさんに施設への居住とか、

立ち退き料を支払えば所有権を得られた

とも考えられますあせる

老人を立ち退かせて施設立てた

などという悪評を不安視していち早く撤退した

有能な経営者はてなマークかもしれませんが、

もう少しやりようがあったかもしれません。

 

いずれにしても、

都合の悪い事を隠したがる

ミネルヴァ不動産の悪弊が

今回は裏目に出たようです。

 

ちなみに、

原作↓

使用貸借契約だけでなく、

扶養義務の存在も触れられてます。

 

なによりも、

ドラマでは全く触れられなかった

「仲介手数料」が主要なテーマの1つでした。

 

不動産屋にとって重要な収入源である

仲介手数料はいつ発生するのかはてなマーク

 

売買契約が成立した時点とされてます。

 

ドラマでは、

売主である大助さんが契約書に署名する場面の後に、

お孫さんの

「今日、売買契約が結ばれたそうです。」という台詞があります。

 

この時点で、

仲介手数料は発生しているとおもえます。

 

結末は現在の家に住み続けるのですから、

ミネルヴァ不動産から仲介手数料の

請求が来てもおかしくないハズです。

 

では、仲介手数料はいくらになるのでしょうはてなマーク

 

神木は、

1億円で売れると言ってました。

 

仮に1億として、

仲介手数料は…

 

物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税

= 3,366,000円ですあせる(合ってますはてなマーク

 

悪徳不動産屋のミネルヴァ不動産が

これを放置するとは思えないのですがあせる

どうなってるのでしょはてなマーク

 

よーく見ると、

この場面は買主側が、

署名しようとしているところに、

売主の大助さんが乱入して、

使用貸借契約の存在を問い詰めたら、

動揺した買主は帰ってしまうあせるというものでした。

つまり…

 

買主側が署名してない!!ので、

売買契約は不成立となり、

仲介手数料も発生しなかったドンッのです。

 

同じ日に同席させて契約しておけば、

ミネルヴァ不動産は仲介手数料を

請求できたでしょうにあせる

 

神木は数百万円を取りはぐれたのですあせる

そりゃ…タップダンスしたくもなるでしょうあせるあせる

ちなみに、原作では…

 

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無料期間終了しちゃいましたあせる