その手に触れて、永遠に。(大宮)29 | ニノのこと♡韓国♡妄想小説♡日々の出来事を綴ったブログ

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29




起きるとカズがいなかった。


やっぱり…

予感は的中したのか。

大野は、ベッドから出てリビングへと行った。

やっぱりいない。


どこ行ったかな…


大野はソファに座って部屋を見渡した。


カズと過ごした部屋が一人になると広く感じた。


こんなに広かったっけ?


大野は大きくため息をついた。



✽・:..。o¢o。..:・✽・:..。o¢o。..:・✽・:..。o¢o。..:・


二宮は、開店前のパン屋を訪ねていた。


トントン

軽く店のドアを叩いた。


電気は付いてるしいるよね…?


もう一度ドアを叩くとバタバタと音がしてえりかが顔を出した。


「二宮くんっ!」


「あ、どうも…」
二宮が軽く頭を下げるとえりかも釣られて頭を下げた。


「朝早くどうしたの?」


「えりかちゃん、少し話し、いい?」


「うん…いいけど…」

えりかは二宮を店へと入れた。


久しぶりに入る厨房からの休憩室。

すでに懐かしかった。

椅子に座ると二宮はすぐに切り出した。


「大野さん、店に戻すことは出来ない?」


「えっ?」


「オレ、店辞めたこと知らなくて。この前初めて知って。その…オレのせいなら…」


「そうしたいのは山々だけど…智くんを店に戻すことは出来ない。」
えりかは下を向いて首を横に振った。

「なんで?」


「ごめん。もう…二人で決めたことだし。智くん…ああ見えて頑固だから。これからはこの店は私が守っていくって、決めたの。」


「大野さんのこと、嫌い?になった?」


「まさか…好きだよ。今でも。二宮くんに取られると思わなかったけど。」
そう言って、えりかはクスッと笑った。


「だったら、、」

そこまで言って二宮は下を向いた。

「二宮くん?」


「ごめん、えりかちゃんから大野さんを奪っておきながら、オレ何 言ってるんだろ…」


「もういいの。好きだけどね、智くんのこと。でも、いいの。気持ちが私に戻ってくることはないのは分かってるから。」


「えりかちゃん…」


「ごめんね。二宮くんの願いは叶えられそうもない。」

えりかは立ち上がって厨房へと戻った。


二宮も厨房へと入った。


「もうすぐ、みわも来るから帰った方がいいかも。」


「えっ?」


「聞いてるよ、みわから。昨日電話があってね。」


「あ…うん。でもあれは…」


「二宮くんって女心分かってないね。そうして欲しいって言われても、ダメだよ、優しくしちゃ。」


「だけど…最後にお願いって…」


「バカだね。みわが余計苦しむ。その気がないなら、ちゃんと冷たくしてあげて。そうじゃないと、みわも吹っ切ること出来ないよ?」


えりかは、二宮を見た。

「オレ…」


「二宮くん?」


「ん?」


「みわのこと、好きになれる?友達ではなくて。恋人として。どう?」


「いや…オレは…」


「智くんが好き?」
えりかは二宮を真っ直ぐに見て聞いた。


「うん…」


「じゃあ、決まり。二宮くんは智くんのところに戻って。みわも、新しい恋始められないから。ねっ」

えりかは、少しキツい言い方だったが最後は少し微笑んだ。



二宮は、店から出て大野のマンションへと向かった。


大野さんが、パン屋に戻ることは出来ないのなら、オレがいなくなればいいんだろうか。


えりかちゃんだって、まだ好きだって言ってたし。


どうしたらいいのかな…?


続く

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