君と歩く未来を64『今でも。今までも。』翔Side~ | ニノのこと♡韓国♡妄想小説♡日々の出来事を綴ったブログ

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『今でも。今までも。』翔Side~


「翔くん、待った?」


「いや、さっき来たとこ。」


「そっか、良かった。」
楓はニコッと笑うと席に座った。


待ち合わせはコーヒーショップにした。
今日は土曜日でお互い仕事は休みだった。

午後一番の待ち合わせ。


「最近はどう?」
楓が俺を見て聞いてきた。


「特に変わったことはないかな。今まで通りやってるよ。」


「そっかぁ。翔くん、彼女は?」


「ぶっ!!」
俺は思わずコーヒーを吹き出した。


「あはは、ちょっと翔くんっ(笑)」


「急に聞くから…」


「くふふふ。」

楓は俺を見て笑っていた。


「えっ?なに?」

 
「カズくんと同じ反応だったから可笑しくて(笑)」


「カズと同じ?」


「うん。彼女は?って聞いたら全く同じ反応(笑)」


「ははは、そうなんだ。」


「で?彼女は?」

楓は俺の顔を覗き込んだ。


「いないよ。」


「そっかぁ。翔くん、モテそうなのにね。」


「そんなことないよ。それより楓は?どうなの?」


「ん?私?彼氏はいない。結婚もね…」


「ごめん…俺のせいだな…」


「なんで?翔くんのせい?」


「あの時、俺、自信なくて…本当は…楓と結婚ってさ。考えてたんだ。」


「ふふ。」
楓がまた笑った。


「なんか可笑しなこと言った?俺…」


「ううん。翔くんと結婚…してたらどうなってたかな?って。」


「…うん。なんか変な感じだな(笑)」


「うん。」

楓はコーヒーカップを持って窓の外を見ていた。


「今日、寒いね。雨が降りそう…」
楓がポツリとそう言った。


「あぁ、そうだな。天気予報当たるかな?」


「うん…」


「なぁ、楓?」


「ん?」

楓が窓の外から視線を外し俺を見た。

もう一度、やり直せる?と聞こうとしてやめた。


「カズとさ、幸せになれよ?」


「えっ?」


「カズはさ、ずっと楓が好きだったんだ。今でも…たぶん…」


「何言ってるの?」


「カズは楓のことがずっと好きだったんだよ。」


「だって、私…フラれたんだよ?」


「そう…なの?」


「うん…」


俺はそれ以上聞くのをやめた。

やっぱり楓はカズに好きだと言ったんだな。

俺のことを考えて楓を振ったのか…。


なんか、情けないな。


「翔くん?」


「なに?」


「タイムカプセル。いつかみんなで掘り起こそうって言っててそのままだったよね?」


「あ、あぁ、うん。そうか。そう言えばそうだったね。」


「今度三人で掘り起こしに行かない?」


「そうだな。」


「ねっ?」

楓は俺に笑顔を向けた。


楓のその笑顔が俺の胸を締め付けた。


カズと幸せになって欲しいと思う反面、やっぱりあの時手離したことを後悔する自分もいた。


本当は今日、楓にもう一度やり直せないか、と言うつもりだった。

でも、ギリギリで言えなかった。

結果は分かっていたからだ。


カズと楓がお互い好きだって…


そう思ったから。


なんか本当に情けないな。


俺はずっと片想いだったんだな。


「翔くん?」


「ん?」


「私…今でもカズくんが好きだよ。」

楓はふと俺にそう言った。




続く