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『答え』和side~
翔ちゃんが楓と出掛けたのは何となく分かっていた。
朝からソワソワしていたし、俺が聞いた時も何だか慌てた様子だったし。
気持ちを伝えるために会うってことも分かっていた。だから帰って来たら聞いてみたかった。
結果がどうだったのか…。
「教えて、今日のこと。」
そう言うと翔ちゃんは少しずつ話し出した。
俺は料理する手を休めることなく耳だけを翔ちゃんに向けた。
「楓とランチして。」
「それで?」
「えっと…公園行って座って…」
「翔ちゃん…そんな事聞いてるんじゃないよ。」
俺が包丁を持ったまま翔ちゃんの方を見るとびっくりしてビクっとなった。
「カズ、怖いよ。包丁向けないで。」
「あ、ごめん。でもそうじゃなくてもっと簡潔に話してよ。」
「うん…。」
翔ちゃんがちょっと言いにくそうにしてるから俺から思いっ切って聞いた。
「楓に気持ち伝えたんでしょ?」
「…うん。」
「で?どうだったの?」
本当は聞きたくない。
楓がもし、翔ちゃんを好きで上手くいったと聞いたら…。
でも、聞かなくちゃいけない。
そう思った。
「それがさ…楓、泣いたんだ。」
「えっ?泣いたの?」
「うん。どうして泣くのか聞いたけど、楓も分からないって。」
「そうなんだ。」
「ただ、びっくりした、とは言ってたけど。俺が向こうへ帰るまでに返事はするって言ってた。」
「そっか。泣いたんだ…」
楓、なんで泣いた?
翔ちゃんに好きだと言われて嬉しかったのか。それとも、本当にびっくりしただけなのか。
翔ちゃんから詳しく聞きたいとは思っていたけど…。
なんだか聞いたことで余計にモヤモヤしてしまった。
「カズ…楓さ、本当は好きなやついるのかな。」
「なんで?そう思う?」
俺は料理の手を止めることなく聞いた。
「好きだって言われてそいつを想って泣いたのかな…って。」
「まさか…楓に好きなやつ?」
好きなやつを想って泣いた…?
楓が?
「分かんないけど…俺やっぱり自信ない。」
「翔ちゃん、まだ分かんないよ。楓の返事。待ってみよう。ねっ。」
「そうだな…。」
俺はなんだか胸が苦しかった。
楓はどんな答えを翔ちゃんに出すんだろうか?
続く