「何が違うの?」
翔ちゃんはそう言って私を見つめた。
自分が試されてるみたいな気がした。
「私は今でも翔ちゃんが好きだよ。」
「本当にそう思ってる?」
「どうして?疑うの?」
「いや...俺は君の言葉を信じたい。」
私は、翔ちゃんの「信じたい」と言う言葉を聞いて少し安心した。
「でもね...俺...」
そこまで言うと翔ちゃんは黙り込んだ。
私の顔をジッと見つめてくる。
「信じたいけど...」
私はドキッとした。
「翔ちゃん...?」
「ずっと一緒にいたんだ。君の気持ちがどこにあるかぐらい察しはつくよ...」
思いもかけない言葉に驚いた。
私は何も言えない。
言葉が出なかった。
そして、翔ちゃんは椅子から立ち上がると私のそばに来た。
座っている私を後ろからギュッと抱きしめてくる。
「行かないで欲しい。どこにも。」
「翔ちゃん...」
「一年後もさらにその一年後もずっと一緒にいたいんだ。」
私はなんて答えていいのか分からずに黙っていた。
翔ちゃんは少し遠慮がちに私の唇に自分の唇を重ねてきた。
自分の気持ちがどこにあるのか。
翔ちゃんも二宮くんもどっちも好きだなんて...
虫がよすぎる。
自分の気持ちがぐしゃぐしゃで...
何をどうしたいのか。
翔ちゃんのマンションからの帰り道。
ずっと考えていたけれど。
答えは出なかった。
続く