5人の空63 | ニノのこと♡少し韓国♡妄想小説♡日々の出来事を綴ったブログ

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櫻井がソファーに座っているとドアをノックする音が聞こえた。


急いでドアの所まで行ってドアを開ける。


「なんだ、潤くんか...」


「ちょっと...なんだって事はないでしょ?(笑)」


「あ、ごめん...」


「雅紀は?まだいないの?」



「うん。どうしよう?」

櫻井は松本を不安そうに見た。



「心当たりないの?高橋の所へは?行った?」



「うん。知らないって。でも少し前までいたみたい。」


「それで?何か言ってたって?」


「いや...でも美紀ちゃんに謝ってて俺が身代わりになれたらなって。そう言ってたって。」


「本当に?それちょっとヤバくない?思い詰めて何かしないといいけど...」


「あ、そう言えば雅紀病院のパジャマだったよな?私服は?監禁されてた時に着てた服、確かここにしまってあったよな?」


松本はそう言いながら小さいクローゼットを開ける。


「あった?」


「ない...」


松本は首を横に振ってクローゼットを閉めた。


「じゃあ、やっぱり外に...?」
櫻井は不安になり松本を見つめた。


「どうしようか?」


「ねぇ、美紀ちゃんってどこで事故にあったのかな。その場所に行ったとか...」



「翔くん、そうかも。行ってみようか?」


「でも、場所は?どこなの?」


「あの時のコンサート会場から近い所のはず。」


松本と櫻井は顔を見合わせて「行こう!」と言った。





相葉は街を歩いていた。


マスクをして歩いていても少し目立った。


それでも気付かれることはなく人混みに紛れた。



この辺だろうか...?


美紀はあの日どうやって会場まで来てどの道を歩いたのか。


最後は怖ったよね...


相葉は美紀の辿ったであろう道を歩いていた。


あの時、俺もちゃんと高橋に言えば良かったのかな。


美紀と来るように。


もう、何をどう後悔した所で時間は戻らない。


俺が身代わりになった所で何も変わらない。


街を歩きながらいろいろ考えたけれど何も答えは出ない。


これ以上歩き回ったって...


その時スマホが鳴っているのに気付いた。


着信画面を見ると高橋と見えた。




―はい。


―あ、相葉?今どこ?


―今?どうして?


―探してたよ?相葉の仲間が。


―そっか...大丈夫戻るから。


―相葉?


―何?


―俺...間違ってたんだ。謝るのは俺の方だよ。


―ふふ、もういいよ。分かってる。美紀の事本当に大事に想ってたんだよな。


―うん。


高橋が電話の向こうで泣いているのが分かった。


あの時狂い出した歯車は少しずつ戻って来ているのかもしれない。


高橋と美紀と俺と。


あの時のように。


もう、どんなに過去に戻りたくても戻れない。


高橋は俺の知らない所でずっと苦しんで来たんだ。


ずっと。



相葉は電話を切ると再び歩き出した。


どこへ行くでもなくただ歩いていた。





高橋は電話を切っていつものように美紀のベッドの横に座った。


今日はもう帰ろうか。


そんな事を思っているとピクっとした。


えっ?


美紀?


美紀の手がほんの少し動いた気がした。


微かにわずかに。


その動きはよく見ないと分からないぐらいだか確かに動いた。


美紀...?



高橋は美紀がさらに動かないかとじっと見つめていた。








続く