高橋はまた美紀が動くんじゃないかと思ってじっと見ていた。
気のせいだったか...。
いや気のせいなんかじゃない。
確かに動いた。
高橋は美紀に話し掛けた。
「美紀?また一緒に笑い合いたい。」
その時ピクッと動いた気がした。
「美紀?」
高橋は美紀の手を握った。
微かに握り返してきた...
「美紀?美紀!」
高橋は何度も呼んだ。
奇跡が起こるかもしれない。
そう思った。
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櫻井と松本は病院を出て相葉を探す事にした。
地下駐車場まで二人で来ると櫻井は自分の車のエンジンをかけ松本が助手席に乗ると車を発進させた。
「どうする?俺が思ってる場所へ行ってみていい?」
櫻井はハンドルを握りながら松本に聞いた。
「いいよ。翔くんが思い当たる場所で。」
「分かった。」
二人は黙ったまま車に揺られていた。
しばらく走って通りへ出ると人混みに相葉がいないか目で探した。
「潤くん、いた?」
「いない...」
とその時急に松本が叫んだ。
「待って!翔さん、車止めて!」
「えっ?ここで?」
櫻井は戸惑った。
人混みがある交差点だ。
「いいから、早く!」
「えっ?ちょっと待って。」
櫻井はパーキングが見えたので慌ててそこに入った。
松本は車が止まるか止まらないかでドアを開けて飛び出した。
「あ、ちょっと!潤くん?!」
櫻井は松本だと他の人にバレないかヒヤヒヤした。
さっき見かけたのが雅紀だと思ったが違ったのか...?
松本は当たりをキョロキョロする。
いない。
遅かったか...
雅紀、どこにいる?
しばらく辺りを見回したがいなかった。
松本はこれ以上ここにいると見つかってしまうと思い急いで車まで戻った。
車で待っていた櫻井が「どうだった?」と聞いた。
「ダメ。いなかった。雅紀どこ行っちゃったんだろう。」
松本は少し寂しそうに窓の外を見た。
しばらく車を走らせて探してみたがいそうにない。
「1回病院、戻ろうか?」
櫻井が言った。
「うん。」
松本は小さく頷いた。
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相葉はしばらく歩いたがこれ以上どうする事も出来ない。
やっぱり戻ろう。
みんなのいる所へ。
会いたくなっちゃった、みんなに。
早く会って前みたいに笑い合いたい。
相葉は、急いでタクシーを拾って病院へと向かった。
タクシーから窓の外を見ると一瞬松本がいたような気がした。
相葉は、気のせいかなと思ってそのまま病院へと急いでもらった。
病室へ着くと誰もいない。
今日は、誰も来ないのかな。
そんな事を思いながら窓を開けて外を見る。
美紀の事を思って空を見た。
ここからじゃよく見えないと思った相葉は何かを思いついて再び病室を出た。
しばらくして松本と櫻井が戻って来た。
「やっぱり戻って来てないね。」
松本が櫻井を見て不安そうにした。
「どうする?」
「ねぇ、あれ見て?」
松本は何かに気付いて櫻井の腕を掴んだ。
「何?なんかあった?」
「窓が開いてる。さっきは閉まってたよな...?」
「えっ?どこ?」
「そこ?ほら?」
「本当だ!もしかして、雅紀?」
「戻って来てまたどこかへ行ったのかな。」
二人は開いてる窓のそばへ行った。
松本は、ちょっと不安になって窓の下を見た。
まさかだよな...?
何もなくてホッとした。
良かった。
そして何となく上を見た。
「ねぇ、見つけたかも、雅紀!」
松本はそう言って急いで病室を飛び出した。
「えっ?ちょっと待って!」
櫻井も松本に続いて慌てて病室を出た。
続く