相葉が眠りにつくと三人は病室のソファーに座った。
ソファーは二つあって長細いソファーと一人用のソファー。
ソファーの前にはテーブルもある。
本当に広い病室だ。
部屋の隅にある大きめのベッド。
部屋の中にはクローゼットもあるし。
洗面台も部屋の隅にあった。
「雅紀覚えてないって大丈夫なのかな。」
松本は心配そうにみんなを見た。
「一過性のものだし大丈夫だよ。きっと。大丈夫。」
自分にも言い聞かせるように櫻井は言った。
二宮も大丈夫なのか。
不安ばかりが襲う。
その時、大野のスマホの着信音が鳴った。
「ちょっとリーダー、病院。」
「ごめん、マナーモードにしとかなかった。」
そう言いながら電話に出た。
―はい。
―えっ?あ、そうだ、すいません。
大野は頭を下げた。
―あ、斉藤さん?その事なんですけど...
マネージャーの斉藤からの電話のようだ。
大野はみんなの顔を見ながら喋った。
―今日の収録、中止にしてください。
―えっ?いや、相葉もまだ体調が良くないみたいだし。
大野は何度も頭を下げて話していた。
―すいません。次回はきちんと行くんで。
よろしくお願いします!
大野は電話を切ってから二人を見た。
「収録中止ね。」
「大丈夫なの?斎藤さん、なんて?」
松本は不安そうだ。
「うん。ちょっと怒ってた。相葉ちゃんの事、話せなくて...ニノの事も。どうしよう...」
「俺から話そうか?」櫻井が二人を見た。
「いいの...?頼むよ。俺じゃダメだわ。うまく言えなくて...」
「あぁ、分かった。」
櫻井はそう言うとスマホを持って病室から廊下に出た。
電話を鳴らすとすぐに出た。
―はい。
―あの、櫻井です。今日は収録行かれなくて...
―こっちは大変だったんだから。どうしたって言うんですか?
―大野はなんて?
―とにかく行かれないの一点張りだし。詳しく知ってるなら教えて下さいよ?
―大野の怪我の事は聞いてるんだっけ?
―はい。本人から直接。
―その犯人。つまり、斉藤さんを襲った人。
―えっ?その犯人が分かったんですか?
―いや、分かったって言うか...まず相葉はその犯人に監禁されてたんだ。
―はっ?えっ?監禁?
斉藤が、電話の向こうでうろたえているのが分かった。
―落ち着いて聞いて下さい。相葉はすでに解放されて病院にいます。
―良かった。じゃあ、無事なんですね?でも、病院って事は怪我でもしてるんですか?
―それが、監禁されてた時の事を覚えてないみたいなんだ...
―えっ?記憶喪失ですか?
―分からない...
―じゃあ、今日の収録もそれで?
―まぁ、そう...です...
斉藤は櫻井が何か煮え切らない返事をしたのが気になった。
―他にもあるなら話して下さい。
―...うん。
―なんですか?!
櫻井は隠しておいても仕方ないと思った。
―二宮がその犯人と一緒にいます。
―えっ?えっ?どういう事かな...?
斉藤は電話の向こうでかなり取り乱していた。
―斉藤さん、落ち着いて下さい。
櫻井は冷静に言った。
―櫻井くん、二宮くんはどうして犯人と一緒にいるんですか?
どういう事ですか?
櫻井は事細かく斉藤に説明した。
―じゃあ、二宮くんは自分から犯人の所へ?
―たぶん、そうだと思います。
―何のために?
―分からない。それが分からないから...
―そうですか。しばらく収録もロケも出来ないですね...
大丈夫なのかな...と言う斉藤の声が電話の向こうから微かに聞こえて来た。
―斉藤さん、本当にすいません...
―いや...もう仕方ないです...
―斉藤さん?
―大丈夫です。とにかく二宮くんを早く犯人から戻して来て下さい。
櫻井は斉藤との電話を切ると病室へと戻った。
松本と大野が心配そうに待っていた。
松「どうだった?」
大「斉藤さん、なんだって?」
櫻「うん。かなり動揺してた...」
松「そうだよね...。これからどうする?」
大「まずはニノを、和也を取り戻さないと...」
三人は小さく頷いた。
その時、相葉の声が聞こえた。
『待って!行かないでよ!』
松本も櫻井も大野も急いでベッドへと駆け寄った。
松「雅紀っ!?」
大「汗かいてうなされてる。」
櫻井は額の汗を自分のズボンのポケットに入っていたハンカチで拭いてあげた。
櫻「雅紀?」
相葉は叫び続けていた。
『待って!待って!』
続く