エレベーターを降りると通路を歩き突き当たりまで歩いた。
車椅子に乗る相葉は眠っているのかぐったりとしている。
突き当たりまで行くと両側にスライド式のドアがあった。
白石は右側のスライドドアを開けた。
「ここでいいね。」
そう言って車椅子を押して中へと入った。
白石のあとに続いて中に入ると驚いた。
ホテルの部屋のようだった。
「何でもあるから。ここなら安心だよね?」
白石は二宮を見て言った。
「はい。本当にありがとうございます。」
二宮は深々と頭を下げた。
二人で相葉をベッドへと寝かせると白石はどこかへ行ってしまった。
二宮は、ベッドの横にあった椅子に腰掛け眠っている相葉の髪を梳いた。
顔にかかる前髪をどかしてあげた。
しばらく何も言わずに寝顔を見つめていると白石が戻って来た。
「ごめんね、これを取りに行ってたんだ。」
そう言って手際よく相葉の腕に点滴の針を刺して酸素を送る機械をつけた。
「彼、呼吸も苦しそうだったからね。点滴は栄養剤ね。」
「ありがとうございます。」
白石は、相葉に掛かっている布団を剥がして胸の音を聞いた。
「うん...まぁ大丈夫かな。」
そう言って今度は胸の下辺りを固定するように包帯を巻いた。
「肋骨、折れてるからね。明日念のためレントゲンも撮らせてもらうよ。でも若いから回復も早いよ。大丈夫。」そう言って二宮の肩をポンっと叩いた。
二宮は肩を叩かれ少しだけ笑った。
「ほら、その笑顔。彼も君が笑ってくれてる方がいいと思うよ。暗い顔してたら相葉くん...だったね。彼も不安になる。眠っていても二宮くんが暗い顔をしていたらそれが伝わるからね。」
「はい。そうですね...」
二宮は少しだけ笑顔を白石に見せた。
「その調子。じゃあ彼の事お願いね。櫻井くんにも君から連絡しといてよ。」
「はい。」
二宮は部屋から出ていく白石に深々と頭を下げた。
病室の窓から外の景色を見た。
本当にホテルみたいだ。
眺めもいい。
スマホを取り出すとLINEで櫻井と松本に相葉が入院した事を伝えた。
白石先生は笑顔でって言ってたけど出来ないよ。
二宮は再びベッドの横にある椅子に腰を下ろした。
眠っている相葉を見ていると自然と涙が溢れた。
ごめん。
あの時気付いてやれなくて...
痩せた頬に手を置くとそっと撫でた。
ごめんね。
まーくん。
自分の頬に伝わる涙を服の袖で拭った。
俺、会ってくるよ。
高橋に。
絶対、まーくんの仇取ってくるから。
もう、安心して?
二宮は自分のスマホの電源を切った。
そして、相葉のスマホから高橋に電話を掛けた。
続く。