二宮と白石は地下駐車場まで相葉を連れて来た。
白石の車に相葉を何とか乗せるとドアを閉めた。
「すいません、お願いします。」
二宮が白石に頭を下げると「君も来る?」と言った。
「えっ?」
「二宮くんだっけ?」
「あ、はい。」
「一緒に来たら?心配だよね?」
「あ、はい。じゃあ行きます。」
二宮は部屋の電気を付けっぱなしにしてきたのが気になったが、鍵は掛けて来たし大丈夫かなと思って行くと返事をした。
それにやっぱり相葉が心配でたまらなかった。
車の後部座席に相葉を寝かせて二宮は助手席に座った。
病院に着くまでの間、白石は真っ直ぐに前を見てハンドルを握っていた。
二宮はその横顔を一瞬見て前を向いた。
何となく話しかけられなかった。
しばらく走ると白石が口を開いた。
「君たち、なんか事件に巻き込まれてる?」
「えっ?いや...」
二宮は言葉を濁した。
自分の手元に目をやると後ろにいる相葉の方に体ごと振り返った。
よく眠っていた。
前を向き直すと白石を見て「犯人...いや、あの...」
「いいよ。話したくなければ。大野くんだっけ?酷い怪我だったし。ちょっと気になってね。まぁ、櫻井くんから詳しく聞くことになると思うからね。」
そう言って二宮を見てニコッと笑った。
「はぁ...」
「普通病人を運んだりしないからね。櫻井くんのお願いだからこうして来たけど。」
「すいません。」
二宮は小さく頭を下げた。
「櫻井くんの事はね。彼は本当に誠実でしっかりしてるし。信頼してるんだ。俺も変な事に巻き込まれたくないけどね。」
「はぁ...」
白石はハンドルをギュッと握ると少しスピードをあげた。
二宮はどう答えていいのか分からず窓の外を見た。
夜の景色が流れる。
夜も遅いのに今日はよく車とすれ違う。
しばらく走ってようやく病院へと着いた。
病院の入り口から入って行く時に病院の名前が見えた。
二宮はハッとした。
さっき、高橋が「来て欲しい」と言った病院の名前だった。
二宮は急に胸が締め付けられた。
ドキドキした。
ここに犯人が?!
大丈夫だろうか?
どうしようかと思っていると、地下駐車場へと着いた。
「じゃあ、彼を運ぶのを手伝ってくれる?」
「えっ?」
二宮はドキドキとして落ち着かなかった。
「大丈夫?」白石が二宮の顔を覗き込んだ。
「あ、大丈夫です。」
二宮は急いでシートベルトを外し車のドアを開けた。
地下駐車場にある入り口から病院へ入ると入口に置いてある車椅子に相葉を乗せた。
エレベーターに乗ると最上階のボタンを白石が押した。
「今から行く病室は特別だから大丈夫だよ。誰も入って来れない。」
二宮の不安な気持ちを察するかのような言葉に少し驚いた。
心を読まれている気がした。
「良かった...」
二宮は思わずそうつぶやいた。
続く