松本は、大野に一通り説明すると、コーヒーを入れにキッチンに向かった。
大野は相葉が無事だったと聞いて安心したが、いろいろ不安だった。
「ねぇ、その高橋って一体誰なんだ?」
大野はキッチンにいる松本に向かって話し掛けた。
「分かんない。そいつがどうして雅紀を部屋に閉じ込めてたのかも...分からないんだ。」
松本はマッグカップを二つ持ってリビングへ戻って来た。
テーブルにそれを置くとここへ来る時に買ってきたサンドイッチやサラダをテーブルに並べた。
「リーダー、お腹空いたでしょ?食べて。」
「ありがと。」
大野は松本に向かって笑顔を向けた。
「あ、あと薬。傷まだ痛むでしょ?」
「...まだ少し痛いかな。薬も飲まなきゃな。」
「うん。それとさ。カズが雅紀の部屋で見つけたんだよ。その高橋の住所を書いたメモ。わざわざ住所をメモするなんてな。本当にどういう関係なんだろうな。」
「そっか。脅されてたとか...?」
「脅される?どんな理由で?」松本が眉間にシワを寄せた。
「分からないな。俺にナイフを向けた事も。どうして襲ったのかも。」
大野は痛む腕を擦りながらその腕を見つめた。
「雅紀、どうしたかな?無事に病院に行けたかな。」松本は腕時計を見た。
時間的にはすでに医者が来て診てもらってるはずだ。
「ニノからは?連絡ないの?」
「まだ...。」
「そっか。相葉ちゃんさ、大丈夫かな?衰弱してるんだよね?」
「...かなり痩せちゃってたけど病院でちゃんと手当てすれば大丈夫だと思うけど...心配だよな。」
「ニノは?大丈夫かな?アイツ。」
「かなり雅紀を心配してたけどな。」
「そっか。その犯人かもしれない男は大丈夫なの?追いかけて来ない?」
「分かんない。」松本は下を向いて黙ってしまった。
「だけど、なんで相葉ちゃんが...?なんかしたのかな?相葉ちゃん悪いことしてないよな?なんでこんな事に...?!」
「本当に分からないんだ。何もかも。」
松本は頭を抱えた。
「明日の...収録...4人で出来るかな?」
大野はテーブルのマグカップに目をやりながら言った。
「うん...不安だけどやるしかないよね。」
「だよな。」
「うん。」
二人はしばらく黙ってコーヒーを飲んでいた。
その時、松本のスマホが鳴った。
二宮からのLINEだった。
松本はスマホの画面を大野にも見せた。
「入院するって...雅紀...」
「えっ?入院?」
二人はまた黙ってしまった。
時計の秒針の音だけが規則正しく聞こえる。
「...カズがついてるし、雅紀大丈夫だよな。」
「うん。きっと大丈夫。きっと。朝になったら病院行ってみる?」
「うん、そうしようか。スタジオに行く前にちょっと顔だそうか。」
二人はとりあえず寝ることにして、大野はベッドへ。
松本はソファーに横になった。
だが、二人は眠れずに暗い部屋で天井を見つめていた。
続く。