櫻井は本番が終わると急いで帰る支度を整えた。
みんな、どうしているだろうか。
相葉は?
ちゃんと病院へ行っただろうか。
すでに時計は0時をとっくに過ぎていた。
これから、帰るとずいぶん遅くなる。
ニノは?
どうしているだろうか?
櫻井は自分の車で来ていたので地下駐車場まで行くと急いでマンションへと向かった。
信号待ちでスマホを見たが特にみんなからの連絡はなかった。
何もないのが返って不安を煽る。
落ち着かない気持ちを抑えて車のハンドルを握った。
マンションへ着くと慣れた感じで駐車場へ車を止めエレベーターに乗り部屋へと急いだ。
鍵は掛かっていた。
カズ?
そっと呼びながらリビングへと向かう。
いない...みたいだ。
明かりは付いていた。
少し前まで人がいた気配が微かにする。
ソファーには毛布が置いてあった。
相葉が寝てた?かな。
コップもテーブルにそのままだった。
でも、他のものは綺麗に片付いている。
カズだな。
昼間片付けてくれたんだろう。
洗濯物も畳んで置いてあった。
病院には行ったんだよな。
きっと病院へと連れ添って行ったに違いない。
そう思うと少しホッとしたと同時に疲れたのか睡魔が襲ってきた。
ベッドで少しだけ横になるつもりがそのまま眠ってしまったみたいだ。
朝の光で目が覚めた。
カーテンの隙間から微かに入ってくる朝の光。
櫻井は薄っらと目を開けた。
壁に掛かっている時計に目をやった。
ヤベっ!!
寝てしまった。
ニノは?
あれ?
どうしたっけ?
半ばパニックになりながらリビングへと行った。
スマホはまだ鞄に入れっぱなしだったのに気付いて急いで鞄から出すと確認した。
二宮からのLINEが入っていた。
『翔ちゃん。まーくんは病院に無事に連れて行ったよ。しばらく入院するって。詳しくはまた。』
入院...
そうか...
大丈夫なのか?
その時急にある事を思い出した。
そう、今日は番組の収録だ。
雅紀がいなくて出来るのか?!
と、その前にニノは?
どうしたんだろう?
ここへは戻ってこないのか。
櫻井は慌てて二宮へと電話を掛けた。
もしかして自分の家に帰ったのかもしれない、そう思いながら電話を掛ける。
何度掛けても電源が入っていないとアナウンスが流れる。
おかしいな。
充電切れてるのかな。
繋がらない電話にイライラしながら部屋の中を歩き回った。
繋がらない電話。
何となく嫌な予感がした。
続く。