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松本はスマホの着信画面を見てちょっと慌てた。
「ごめん、カズ。俺帰らないと。」
「えっ?!」
二宮が少し驚いて松本を見た。
松本は二宮にスマホの画面を見せると電話に出た。
着信画面には大野の文字が見えた。
―リーダーごめん。すぐ帰るから。お腹空いてない?何か買って行くから欲しいもんあったら言って。
松本は会話が終わると電話を切ってどこかにまた電話をかけた。
「はい。お願いします。」
二宮はその様子を見ていて不安そうに松本に聞いた。
「潤くん?行っちゃうの?」
「うん。今タクシー呼んだから。大野さんも心配だし。一度帰るよ。」
「そっか。」
二宮の寂しそうな不安そうな顔を見ると松本もこのまま行ってしまうのは心配だったが大野の事も心配だった。
「ごめん。雅紀のことは頼んだ。ニノなら・・・カズなら大丈夫だよね?雅紀もカズの方がいいよ、きっと。」
「うん・・・。」
二宮は少し不安だったが、一人で待っている大野の事も心配だった。
「潤くん、大野さんの事お願いね。」
「うん。じゃあ、何かあったら連絡して。」
そう言い残して松本は櫻井のマンションをあとにした。
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大野は、暗くなった部屋に一人ポツンとソファーに座り考えていた。
松本が出掛けた理由は分かっていた。
相葉ちゃんを探しに行ったんだろう。
俺も探そうと思っていたのに…
でもなんの手がかりもない。
潤くんはどこを探したのか相葉ちゃんは無事なのか。
明日の収録の事も心配だ。
いろいろな事が頭を巡り頭がパンクしそうだった。
ニノの事も…。
泣いてるんじゃないか?
アイツ。
本当は、自分が襲われてたかもしれないんだ。
きっと俺が身代わりになった事。
すごく気にしてるかもしれないな。
でも、とにかく怪我をしたのがアイツじゃなくて良かった。
まだ、傷がズキズキと痛む。
よく眠ったせいか頭はスッキリとしていた。
その時、部屋の明かりがついて少し驚いた。
「真っ暗な部屋でどうしたの?」
松本が帰って来て電気を付けたのだ。
「あ、ごめん。電気付けるの忘れてたわ。」
「そっか(笑)大丈夫?腕?」
「うん。あのさ...」
大野は少し言いにくそうに松本を見た。
「雅紀とカズの事だろ?」
「うん。どうしてる?ニノ。泣いてない?相葉ちゃんは?明日の収録・・・」
「待って、そんなに聞かれたら答えられない(笑)」
「あ、ごめん(笑)」
「雅紀...見つかったよ。」
「えっ?!マジで?どこ?どこにいたの?」
大野は珍しく早口で松本に問いかけた。
「待って、順番に話すから。」
松本は大野が座っているソファーの隣りに座りゆっくりと話し始めた。
続く