14『久しぶりの再会』
ユウコは、撮影場所のスタジオに着くと、スタッフの誘導で控え室から撮影スタジオまで向かった。
そっとスタジオへ入る。
中を見るとカズの姿が目に飛び込んで来た。
ユウコは、心臓が飛び出しそうになるのを押さえた。
スタッフが促すように中へと誘導する。
「二宮さん、今日 一緒に撮影していただくユウコさんです。」
スタッフの声にカズが振り向いた。
ユウコはドキドキが止まらず足まで震えていた。
どうしよう…
カズが目の前にいる。
ユウコは、震える足を必死で押さえながら、「よろしくお願いします」と頭を下げた。
「えっ…」
二宮は、ユウコが目の前にいる事にかなり驚いていたが、周りにはそれを悟られないようにした。
「あっ、こちらこそよろしくお願いします。」
二宮も頭を下げた。
ユウコは、恥ずかしくてカズの顔を見れなかった。
その時、CMスタッフからの説明で、二宮とユウコがペアになるよう指示された。
もう一組は無名のタレントと俳優さんだった。
どうしよう…
カズと組むの…?!
ペアで、滑り台を滑ると言うシーンを撮ると言う事で、さっそくスタンバイするようにと言われ、ユウコと二宮はスタジオにある大きな滑り台に登った。
二人はお互い、顔を見れずにいた。
監督から、二宮がユウコの後ろになり抱きしめるという体勢になるようにと指示があった。
二人がちょっとぎこちなく滑り台の上でスタンバイしていると、監督が
「ちょっと二宮くん、堅いよ。」
と、二宮を見て言った。
二宮が、アハハと照れたように監督を見て笑うと監督は、さらに細かい指示をしてきた。
監督「ユウコちゃんのお腹の辺りで彼女の手を握ってもらえる?」
二「えっ?」
二宮は、ちょっと戸惑った。
戸惑いながらも二宮はユウコを優しく覆う。
二「手 出して。」
二宮はユウコの耳元でそっと言った。
ユウコは、恥ずかしくてドキドキしながらもそっと手を出した。
二宮はその手を少し引っ張る感じで取るとギュッと握った。
ユウコは、顔を上げる事が出来ずに二宮の手をずっと見ていた。
二人の手が繋がれている。それだけでドキドキしているのに後ろからカズに抱きしめられていると言う現実に頭がクラクラしそうだった。
続く