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この日が来るのをどんなに待ちわびていたか。
ふふ。
早く会いに行きたい。
俺はちょっと寒くなった街を電車を乗り継いであの人のマンションまで向かった。
プレゼントは何がいいかな?
ずっと、考えていた。
うーん。
あの人にぴったりの物が思い付かない。
絵を描くからスケッチセットとか・・・
おしゃれになりたいって言ってるから服とか・・・
いろいろ考えるけど思い付かない。
結局何も用意しないまま当日を迎えた。
マンションの前に着くとインターフォンを鳴らした。
「はい。」
「おれ、おれ。」
「はっ?オレオレ詐欺?」
「ちょっと(笑)」
「名前言ってよ(笑)」
「あのね。声でわかりますよね?」
「いや。分かんない(笑)」
「おーのさん、ちょっと。開けて下さいよ。」
「じゃ、開けるから適当に入ってきていいよ。」
俺は言われるままにエントランスを抜けエレベーターに乗って大野さんの部屋の階までのボタンを押した。
なんとなくウキウキした。
部屋の前に着いてドアを開けて奥の部屋へと呼び掛けた。
「おーのさん?」
返事がないので入ろうとしてハッと気付いた。
えっ?
なんで?
玄関でおたおたしていると大野さんがやって来た。
「ニノ、どーした?」
「えっ?いや、あの・・・」
「とにかく入りなよ。」
「う、うん。」
中へ入るとソファーに座っている誰かを見つけた。
その誰かが俺を見て「ニーノ♡」と言って微笑んだ。
「しょーちゃんっ」
「あは、今年は俺の方が早かったね。」そう言って嬉しそうに笑っていた。
「しょーちゃん、ズルいよ。」
俺はガッカリした。
確か、前に翔ちゃんより俺が先に来ていたことがあった。
「ちょっとさ、なんなの?人ん家来てさ。」
「おーのさん、しょーちゃん、いつから来てたの?」
「えっと、結構前かなー。」
「ふーん・・・プレゼントは?」
「プレゼント?」
「そう、あなた今日誕生日でしょ?」
「あー、そっか。」
「ニノ、俺はもうあげたよ。」
何だか翔ちゃんは意味ありげに俺を見て笑っていた。
「何、あげたの?」
「ふふ、全身コーディネート!」
「はっ?」俺はびっくりして大野さんを見た。
「いや、今は着てないよ(笑)」
「翔ちゃんがっ?!全身コーディネート!何?どんなのあげたの?」
「教えない。」翔ちゃんは何だかものすごく嬉しそうにしていた。
俺より先に大野さんの所に来ているのがそんなに嬉しいのか。
プレゼントを俺より先にあげたのが嬉しいのか。
とにかく嬉しそうだった。
「ニノは?プレゼント何持ってきたの?」
「えっ?いや。」
「もしかしてないの?」
翔ちゃんは本当に嬉しそうにしていた。
その姿に異様に腹が立ってきた。
「あるよ!おーのさんには俺の愛を持ってきたの!!」
「愛?」
俺は大野さんにベタっとくっつくと「おーのさんはおれのだもん。」とギュッと大野さんに抱きついた。
「はっ?ズルっ!」翔ちゃんはそれを見て反対側から大野さんにくっついた。
「ちょっと、二人ともなんなの?!」
「「いいじゃんっ!」」
二人の声が揃った。
プレゼントを準備出来なかったのがちょっと悔しかったけど、いいんだ。
俺は翔ちゃんを残して先に帰ることにした。
大野さんと会えたからいいや。
んふ。
それに・・・
「ニノ、何だったんだろ?」
「俺にプレゼント持ってきたんじゃなかったのかな。。」
「不思議な子だね(笑)」
櫻井がそう言った。
大野は、自分の穿いているスエットのポケットが何かモゾモゾするような気がしてポケットに手を突っ込んだ。
「何これっっ!!」
大野がポケットから手を出すとヒラヒラとそれは舞った。
櫻井もびっくりして「何これっ?!」と叫んだ。
「ニノのやつ、いつの間に(笑)」大野はクスクスと笑った。
ポケットからはたくさんの小さなハートがヒラヒラと落ちた。
赤いハートの中にひとつだけ何か書いてあった。
赤いハートに黒い文字で『大野さん、愛してますよ。誕生日おめでとう。これからもずっとずっと二人で5人でいようね。』
なんか、横線引いてあるよ(笑)
バカ。
ニノのやつ。
いつも、おかしな誕生日プレゼントなんだから。
ニノは、外から大野さんの部屋の窓を見ていた。
ふふ。
気付いたかな。
翔ちゃんには先越されちゃったけど(笑)
プレゼントは愛ですよ。
愛。
大野さん、誕生日おめでとう。
ニノは、そう言いながらマンションに背を向けて歩き出した。
2016.11.26