23
潤がマンションへと戻ったのは次の日の夕方だった。
家具はそのままだったが、あけみの荷物がないのはすぐに分かった。
二つ並んで置いてあるスリッパも歯ブラシも一つしかなかった。
寝室に行ってみるとあけみのお気に入りの枕もなかった。
ベッドに座ってみる。
一人で眠るには広いかな。
潤は大の字になってベッドに仰向けに寝てみた。
クスッ
何やってんだろ。
寝室の天井を見ながら自分のしている事にちょっと笑ってしまった。
やっぱりこのマンションを引き払うのはやめようかな。
一人では広いけど。
でも。
潤は、もう一度あけみと暮らしたいと。
そう思っていた。
好きなのに別れるなんてやっぱりおかしい。
天井を見上げてボーッとしているとメールの着信音が鳴った。
寝転がりながらズボンのポケットからスマホを取り出した。
潤はメールを見て思わずガバッと起き上がった。
あけみからだった。
「潤くん。ちゃんと食べてる?この前引越しの時にね、潤くんのお気に入りのTシャツも持ってきちゃったの。返したいから会ってくれる?」
お気に入りのTシャツ。
あれか。
あけみ、相変わらずだな(笑)
潤は小さく笑った。
間違え持って行っちゃったのか。
やっぱり俺の好きなあけみのままだ。
俺はすぐに返事をしてあけみと会う約束をした。
会ったときにきちんと話そう。そう思っていた。
会うのは一週間後だった。