16
タケルが帰り道を歩いているとスマホの着信音がした。
タケルはまたか・・・と言う顔をして電話に出た。
「もしもし?」
「タケル?また怒ってる?」
「怒ってはない。呆れてるだけ。」
「私何かした?」
「いや。」
「ねぇ、会える?」
「会えない。」
「もぅ、冷たいな。タケルはいつもそうなんだから。」
「もう、切るよ。忙しいんだ。」
「待って。切らないで。」
「えり。頼むから。」
タケルはえりの言葉を待たずに電話を切った。
はぁ、またか。
最近静かだと思ったのにな。
タケルは大きくため息をついた。
タケルが自宅であるアパートに着くと玄関に誰かが座っていた。
髪が背中まで長くヒラヒラしたワンピースを着ていた。
えりだ。
「えり?!」
「あ、タケル!」
「ごめん、忙しいって言ったよな。」
「会いたくて来ちゃった。」
「もう、俺とは縁が切れただろ。それに。」
「それに?」
「あんな事があったんだ。」
「もう、終わった事でしょ?」
「あれで俺はどれだけ傷ついてショックだったか。」
「でも、あれはあの子だって悪いんじゃない?!」
「でも、だからって。。」
「タケル?」
「今日はもう、帰りな。」
「ごめん、タケル。」
タケルはアパートのドアを開けると中へ入ってパタンとドアを閉めた。
あいつまた何しに。。
えりはタケルがドアを開けてくれないのはわかっていた。
しばらく待ったがそのまま帰ることにした。