14
潤はソファーに座りテレビを観ていた。
「ちょっと、聞いてます?」
「うん。」
「潤くんが来たおかげでともこも帰っちゃうし。いつ帰るんですか?」
「うん。」
「潤くん?彼女待ってますよ。」
「うん。」
「さっきからそればっか。」
「うん。」
「あー、また・・・」
潤は二宮の家にいた。
喧嘩して勝手に怒って飛び出したのはいいが行く所がなく二宮の所に転がり込んだ。
さっきからテレビを観てスマホを時々見たり何だか落ち着かない。
二宮からの言葉も頭に入って来ない。
結局自分が飛び出してからあけみからの連絡はなかった。
やっぱり俺が謝るべきか。
いやでも、アイツだって悪いんだ。
ずっと同じ事の繰り返し。
そんな事ばかり考えていた。
「潤くん。聞いてます?」
二宮は潤の目の前に行って顔を覗き込んだ。
「あ、ごめん。何?」
「ほら、聞いてなかった。だからいつまでウチにいるつもりなんですか?」
「ごめん。仲直りするまで。」
「じゃあ、今から仲直りして下さいよ。」
「今から?」
「そう。今から。」
「・・・」
「早く、電話して。」
二宮は潤に電話をするように持っているスマホを指さした。
「でも、俺は悪くない。」
潤はそう言って持っているスマホを横に置いた。
「じゃあ、あと一晩だけね。そしたら帰ってくださいよ。」二宮はため息混じりにそう言った。
あけみ。今頃どうしてるんだろう。
飛び出してきてしまった後ろめたさもあってなんとなく連絡しづらいのもあった。
考えてみれば大した事ではなかった。
でも何だか気に入らない。
あけみがどこかへ行ってしまうんじゃないかとさえ思えた。
やっぱり帰るか。
待ってるだろうし。
「やっぱりさ、帰るよ。」
「えっ?どうしたの急に。」
「なんかバカらしくなった。ここにいてもしょうがないし。」
潤はスマホをポケットにしまうと二宮のマンションをあとにした。