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『今日はバレンタインだったよな。』
テツヤがあかりを見て言った。
あかりは、紙袋に入ったチョコを配っていた。
毎年この光景はバレンタインの恒例だった。
『あいつ、いくつ用意したんだよ。』
翔は、あかりの方を見て半ば呆れ顔で言った。
大学の授業が終わり、構内でまったりとしながら仲間たちと話していた。
『ねぇ、翔くんはもらったの？』
あかりと仲が良かったリエが聞いてきた。
『俺？まだもらってない。』
『まだなの？』
『俺は、さっきもらったけどね。あかりちゃん可愛いからなぁ。』とニヤケ顔でテツヤが言った。
『リエちゃんは配らないの？』俺が聞くと
『私は、本命にあげるだけ。』
とちょっと照れたように答えた。
『あかりは、人気者だからね。みんながあかりから欲しいわけ。バレンタインにはチョコちょうだいって言われるわけ。あかりもさ、あげなくてもいいのに、毎年配ってる(笑)』
『真面目だな。まぁ、そこがいいんだけど。』テツヤはニマニマしながら、みんなを見る。
あかりがチョコを配り終わってみんなの所に戻って来た。
『あかり、いくつ用意したの？』
リエが聞いた。
『うんと、15個くらい…？かな。』
『もう、あかり毎年配らなくていいんだよ。』
リエがそう言うとあかりは笑って言った。
『だって、みんな欲しいって言うし…(笑)』
『バカだな。真面目に用意しなくたっていいのに。』
『翔くん、バカは言いすぎっ』
あかりは俺を睨む。
『ねぇ、リエちゃんは俺にはないの？』テツヤがリエに真顔で聞いた。
『テツヤ先輩にはありませんっ！』
リエが、突っぱねて言った。
『一応、先輩だぞっ。義理ぐらいくれたっていいだろっ？！』
テツヤが膨れっ面でリエを見る。
『やだよー』リエはテツヤにあっかんべーをする。
『あれ？テツヤはあかりちゃんじゃないの？』俺が言うとテツヤは慌てる。
『だからー、あかりちゃんは可愛いし、人気者だから俺には高嶺の花なの。』
『ちょっと、それどういう意味？私はいつでも手が出せる雑草って事？！』
リエとテツヤのこの言い争いは毎度の事だった。
あかりとリエは俺たちより１つ下の後輩だったが、サークルが同じと言う事で仲が良かった。
それに、このテツヤとリエは幼なじみだった。
そんな事もあり、いつも一緒だった。
続く