片想いと親友と。(翔潤)22 | ニノのこと♡少し韓国♡妄想小説♡日々の出来事を綴ったブログ

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22


バレンタインのその日、俺はみんなと別れると大学の図書室に行った。


ちょっと調べたい事があり、一人本を読んでいた。


『翔くん。』
小声で呼ぶ声がして、俺は声のする方へ顔を向けた。


隣にあかりが座っていた。


『えっ?いつの間に?』
俺は驚いてあかりを見た。


『翔くん、気付かないんだもん。』


『本に集中してた。』


『真剣に何やってたの?』


『もう、卒業も近いし論文の調べもの。』


『そっか、もう卒業しちゃうんだよね。』あかりはちょっと寂しそうな顔をして俺を見た。


『それより、どうした?』

あかりは、鞄から小さな箱を取り出した。


『これ。』あかりは、その小さな箱を俺の目の前に差し出した。


『?』


『チョコだよ。』
あかりは、はにかむように笑う。


『そっか、あかりのバレンタイン恒例のチョコか…』
俺はその小さな箱を自分の鞄にすぐにしまった。

『サンキューな。わざわざ届けに来てくれたんだ。』


『中見ないの?』


『中?今、ここで?図書室だよ。後でね。』


『そっか…だよね。』あかりはどことなく寂しそうに見えた。


『あのね、言っておくけど、手作りだからね。』
あかりは俺の顔を覗き込む。


『へぇー、仲間には手作りにしたんだ。さすがだね。テツヤも喜んでるんじゃない?』


『翔くん、手作りは翔くんにだけだよ。頑張ったんだから。』


『俺だけ?』


『手作りって言うのは大事な人にだけなんだって。』あかりの言っていた言葉の意味があの時は理解出来なかった。


『えぇっ、何言ってんの(笑)』


俺は、卒業に向けての準備の事で頭がいっぱいだった。


『だから、翔くんは大事な人って事だよ。』


『3年間、ずっと一緒だったもんな。仲間っていいよな。』

俺は、とんちんかんな事をあかりに言っていた。


『もぅ、本命チョコなんだって。』


『はっ?あかりさ、冗談やめろって。テツヤが泣くぞっ』


『テツヤは、リエでしょ?』


『えっ、そうなの?』


『もう。翔くん、鈍すぎ。』


『まぁ、いいや。どうせ義理チョコだろ。あとで食べっから。サンキュ。』




今、思えばあれが告白だったのか…。


なんて鈍いんだ、俺。





俺は、バスに揺られながらぼんやりと思い出していた。



自分の不甲斐なさに思わず笑ってしまう。


情けな…。


俺…。



あかりは、精一杯気持ちを伝えたんだろうな。


俺は、相手にもしていなかった。




俺があかりを好きだと気づいたのは卒業してからだったな。

そばにいすぎて気付かなかったんだ。



俺は、バスに揺られながら徐々に眠りに落ちていった。



続く