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潤は、あかりとの電話を切ったあとしばらく、その場から動けなかった。
こんなにも辛いならあかりを手離さなければ良かった。
だけど、大事な人だから本当に好きな人と幸せになって欲しい。
本当に、好きな人と幸せに…
潤は、その場から動けずに泣き崩れていた。
みっともねぇ、俺…。
男の癖に泣くなんて。
俺、こんなにもあかりの事好きだったんだな…。
ーーーーー
あかりもまた、静かに泣いていた。
ごめんね、潤。
潤は優しいよ。
潤の優しさをムダにしちゃいけない。
ちゃんと、翔と向き合おう。
ちゃんと…。
あかりは、涙を拭うと携帯を開いた。
翔への発信ボタンを押す。
あかりは、ドキドキしながら翔が出るのを待った。
まだ、出ない。
出ない…
カチャっ
ー留守番電話サービスセンターにお繋ぎします…
留守電…
あかりは、ドキドキしていた胸を撫で下ろした。
ちょっとホッとしたような気がした。
ーーーー
翔は、その頃高速バスに揺られていた。
あかりからの着信はマナーモードになって鞄の中に入っていたため気付かなかった。
俺はバスに揺られながら考えていた。
あかりが俺に告白したのはいつだったんだろう…?
俺はバスに揺られながら思い出していた。
続く