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次の日の夕方、あかりは、潤のマンションにいた。
いつものように掃除をして、料理を作り潤がすぐに食べられるようにしておいた。
ん♪ん~、ん~♪
なんとなく鼻歌を歌いながら、あかりはキッチンを片付けていた。
だけど、その瞳からは一滴、二滴と涙がこぼれていた。
キッチンが片付くと寝室やバスルームに行き荷物をまとめた。
あかりは、自分の物を少し潤の部屋に置いてあった。それをひとつ残らず、大きな鞄に詰めた。
その間も鼻歌を歌っていた。
だけど、やっぱり瞳からは涙がこぼれていた。
あかりは荷物をまとめると、リビングに行き持っていた綺麗な便箋に手紙を書いた。
書き終えると、リビングを見渡し手で涙を拭った。
それから、あかりは潤の部屋をあとにした。
さよなら…あかりは、一言そう言うとドアポストに潤の部屋の合鍵を入れた。
ガチャンッ
鍵が落ちる音が寂しく響いた。
あかりは、振り返る事なく潤のマンションをあとにした。
続く