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俺は潤くんが店を出てからもしばらくテーブルに置かれたコーヒーを見つめていた。
どうしたらいいんだ…。
あかりの事は好きだ。
だけど、あかりが俺を好きだなんて。
あかりは、潤くんが好きだって言ったんだ。
そんなはずない。あいつが俺を好きだなんて。
それに、あかり頼むって、何なんだよ。
俺は考えがまとまらないままだった。
ただ一人コーヒーを見つめていた。
ーーーーー
潤は、自分の部屋に帰ってくると、ソファーに座りテレビをつけた。
テレビの画面を見ながら、チャンネルをカチャカチャと変える。
お笑い番組がやっていて、チャンネルを変える手を止める。
潤はしばらく見ていたが、テレビから笑い声が聞こえても潤は笑う事は出来なかった。
辛い。。
なんで、こんなに辛いんだよ…。
あかりを手離す事は自分で決めた事じゃないか。
翔さんとあかりがお互い想いあってるなら、俺は身を引くしかない。
潤は、そう思っていた。
ーーーー
あかりは、仕事から帰ると一人分の料理を作り始めた。
えっと、確か潤は、この味が好きだったよな。
でも、潤は私の玉ねぎの切り方が荒いっていつも言うんだよね。
それでいつも、おまえは雑だなって。だけど、いつも美味しいって食べてくれて。
あれ?
なんで、泣いてるんだろ…
玉ねぎが目に染みるだけだよね。
あかりは、何だか分からないまま泣いていた。
翔の事は好きだけど、潤とはずっと一緒にいた。そばにいてくれた。
優しすぎるよ…潤…
あかりは、料理をしながら泣いていた。
一番大切なものは何?
答えは出ている気がした。
続く