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二宮は店員を呼んで会計を済ませると個室から出て直接地下駐車場へ出れる出口から駐車場に出た。
少し待つとマネージャーが来た。
「乗って。」二宮は優衣を先に乗せると自分も乗り込んだ。
マネージャーは「どこに向かいます?家はどちらかな?」と優衣を見て聞いてきた。
「えっと…」優衣は答えに戸惑っているようにも見えた。
「そう言えば、家どこだっけ?」二宮は優衣を見た。
「今はホテルに泊まってるの。○○ホテル」
「そっか…一時帰国だもんな。」
「うん…」
二人は何となく黙ったままだった。
俺は窓の外を見た。
流れる景色の外灯を見ていた。
俺は昔、優衣を好きだった。その事実は間違いない。
確かに好きだった。
その感情はだんだん大きくなり気付けば俺は優衣の手を握っていた。
優衣も手を握り返して来た。
窓の景色から目を離して隣を見ると優衣はこちらを見ていた。
二人はどちらからともなくキスをした。
唇を離すと二宮は「俺の家まででいいよ。」そうマネージャーに告げた。
マネージャーは車のルームミラー越しに二人を見て「分かりました。」そう答えた。
「カズちゃん…?」優衣が二宮を不安そうに見た。
二宮は優衣に微笑みかけた。
「今日は俺んち来てよ。」
そう言って握っている手をギュっとした。
優衣は小さく頷いた。
続く