智くんハピバ1
今日は智くんの誕生日。
そんな日に珍しく休みだなんて。
翔は嬉しくてちょっと小躍りしたくなった。
身支度をして紙袋を持つ。
よし!
行きますか!
何故か気合を入れて玄関を出た。
車で目的地まで向かう。まだ朝早かったし道路も空いていてあっという間に智くんのマンションへと着いた。
インターホンを鳴らしてしばらくすると「翔ちゃん?玄関、開けとくから勝手に入って来ていいよ!」智くんが返事をした。すぐにマンション入り口のドアが開いた。
翔はエントランスに入るとエレベーターに乗り智の部屋の階のボタンを押した。
翔はドキドキしながらエレベーターが止まるのを待った。
エレベーターが止まると智の部屋の前まで行って深呼吸をした。
鍵は開けておくって言ってたな。
そっとドアを開けながら「お邪魔しまーす。」と小さな声で言った。
玄関で靴を脱ごうとして、ある靴に気付いた。
あれ?この靴は…
見覚えのある靴。絶対アイツだ!
翔はガッカリしながら靴を脱いで部屋へと上がった。
玄関から細い廊下を通ってリビングへのドアを開けた。
「智くん?」
「おっ、翔ちゃん!」
智が嬉しそうに翔を見た。
部屋には大きな籠?があった。
「智くん、これ何?」
「ん?あっこれ…(笑)」
大きな籠の中に布団?クッション?
「これ、もしかしてハンモック?」
「そう、ハンモックチェア。これに入って過ごすの。いいよとっても。」と嬉しそうに笑った。
その時、リビングの奥の寝室のドアが開いて見覚えのある人物が出て来た。
その人物はちょっと眠そうに目を擦りながらあくびをして翔を見た。
「あれ?翔ちゃんどうしたの?」
「なんで、ニノがここにいるの?」
「なんでって?ねっ!大野さん!」
とニノは智を見て智もニノを見てお互い「ふふふ」と笑った。
「何?ニノ泊まったの?!」
翔の顔は途端に曇り始めた。
「えっ?あっ、泊まったって言うかね…」
翔は何故だか面白くない気持ちになって、「何なの?ニヤニヤしちゃって。」と言いながら智に手に持っていた紙袋を渡した。
「何これ?」
「誕生日プレゼントっ!!」
相変わらず不機嫌なまま答えた。
その様子を見てニノはクスクス笑い出した。
「なんで笑うんだよ!?」
「翔ちゃん、俺が先に来てたからヤキモチ妬いてるんだよね。」と言いながらクスクスと笑っていた。
翔はニノに本当のことを言われますます不機嫌になった。
「違うしっ!」
「まぁまぁ、二人ともせっかくだからコーヒーでも飲んでく?」
智はそう言いながらキッチンへとコーヒーを入れに行った。
翔は突っ立ったまま部屋をキョロキョロと見回した。
すると、何かが目に止まってそれをマジマジと見た。
ソファーの下に座ってその様子を見ていたニノが翔に声をかけた。
「翔ちゃんどうしました?」
「あれ、なに?」
リビングの棚に置いてある箱を指さした。
「ん?あぁ、あれか…」とニノは何やら嬉しそうにその箱を見た。
「なんでそんなに嬉しそうなんだよっ」相変わらず不機嫌なままだった。
その時、智がキッチンから戻って来た。
「なに?どうした?」
「翔ちゃんがさ、あの箱なに?って。」
智は棚に置いてある箱を見て「あぁ、あれか…」とニノと同じことを言った。
「えっ?何なの?」
智とニノは顔を見合せて、フフと笑った。
「なんでさっきから二人にしか分からない世界作ってんのっ?!」
「そんな事ないですよ。」ニノが智を見てまだニヤニヤしていた。
翔は箱を見てみようと棚に置いてある箱を掴もうとした。
すると後ろから「ダメ!」と智が叫んだ。
「えっ?」
「ダメだよ、翔ちゃん。」智は急いで箱に近付くと大事そうに箱を持って寝室に持って行った。
「えっ?なんで?なんなの?」翔は不思議そうにニノを見た。
「あれね、去年 私があげたプレゼントなんですよ。」
「はっ?箱がっ?!」翔は可笑しくて笑った。
「翔ちゃん、笑うなよっ!」寝室から戻って来た智が翔の方を見て言った。
「そうそう、笑わないでくださいよ。」
「あれは愛なんだよ。愛!」
「はぁ?!」翔は二人の言葉に首を傾げた。
「全くわかんねぇ。それよりさ、二人で何やってたの?」
「「釣りゲーム」」二人は声を揃えて言った。
「釣りゲーム?」
「そっ!最近釣りもしてないしな。なかなか本格的で楽しいんだ。」智は嬉しそうにニコッと笑った。
続く