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「ねぇ、本当はどっちが好きなわけ?」
「…きゅ、急に何…?」
彼の部屋のベッドの上…
急に質問されて、私は彼に背中を向けた。
仰向けに寝ている彼に背中を向けたまま、私は言った。
「ちゃんと好きだよ。カズが。」
「ふ~ん」そう言って私が掛けていた布団を引っ張った。
「寒いよ。」
と言って私も布団を引っ張る。
「俺も寒いのっ」
と彼もまた引っ張る。
仕方なく私は布団から出て散らばった服を拾った。
寝室から出て、下着や服を着ると、ソファーへ座った。
しばらくテレビを見ていたけど、彼が気になって、寝室を覗いた。
「何?」
私が覗くと彼はベッドに横になったまま、言った。
「何でもない…、帰るね。」
「うん。さっきの質問の答えは?」
「だから、カズが好きだってっ」
「…もういいよ…バイバイ」
「バイバイ…?」
「またね」
彼はだるそうにそう言った。
私は寝室のドアを閉めると、静かに玄関から出た。
彼の質問の意味は分かっている。
私が静かに歩き出すと、鞄の中の携帯がブルブルと震えた。
マナーモードにしたままだった。
携帯を取り出し、電話に出ると潤くんだった。
―こんばんは。
―うん。こんばんは。
―今どこ?もしかして、まだヤツの家?
―ううん、今帰り
―そうなんだ。会える?
―う~ん、会えない…
―そっか…
―潤くん、あのね、カズ…勘がいいから…
―やっぱりね。そっか…何か聞かれたの?
―うん。誰が好きか?って。
―それで?
―カズが好きだよって…
―そっか…普通そうだよね。
―うん。
―なんか、ごめんね。
―もう、いいよ…
―…また、ね。
―また、ね。
半年前――
カズと私は付き合い始めた。
潤くんの紹介。
潤くんとは友達…だと思っていた。
でも違った。
カズと付き合い出してから潤くんも私をよく誘ってくるようになった。
鈍感な私は全く気付かなかった。
続く