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彼のマンションから会社までちょっと時間がある。
会社まで向かう電車に乗り込むと今日は幸い座れたので智くんから渡されたiPodをカバンから取り出してイヤホンを耳につけた。
5曲目って言ったよね。
歌のタイトルに「Only Love」とあった。
歌を聴きながら窓の景色を眺めた。
通勤途中の電車の中で涙が溢れそうになる。
これが智くんの気持ちなんだと思うと私と同じ気持ちでいてくれたことが嬉しくて幸せな気持ちになった。
これ、本当に…
『世界にひとつの 大切な愛に出逢えた』
この歌の歌詞ごと全部私も同じ気持ちだよ。
智くん。
通勤途中の電車の中で私はずっと泣いていた。
やだ、会社に着いちゃう。
化粧が落ちちゃうよ。。
これから仕事だって言うのに、智くんに会いたくて仕方なかった。
さっき、別れたばかりなのにね。
こんなに誰かに夢中になれたことは初めてかもしれない。
私は仕事が終わると急いでマンションへと帰った。
彼はすでに帰っていて部屋の窓に明かりがついているのが外から確認出来た。
急いで靴を脱ぐとリビングへと向かいソファーに座る智くんの胸に飛び込んだ。
「ちょっと、トモ?」
「曲、聴いたの。」
「ふふ、どうだった?」
「うん。」私が笑うと智くんは、恥ずかしそうに私に微笑み返した。
これが私達の出逢いから気持ちが一つになるまでの事。
こんなに好きになるとは思ってもみなかった。出会った時は。