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何だか不思議。
最初はどうでもいいなんて思ってたのに。
いろんな事を考えてみたら、出かけるとき誘うのはいつも私の方からだった。
智くんから誘われた事なんてあったかな。
私が無意識に好きだと思ってたから、、だよね。
私はiPhoneを見つめながら電話をしてみようかどうしようかと迷っていた。
どうしよう。
私、本当に好きなの?
自分の気持ちにも疑いをもつ。
今日は、ただなんとなく、智くんが素敵に見えただけかも(笑)
智くんのふにゃっとした笑顔が頭から離れない。
あんな風に笑う人初めて出会ったよ。
優しく笑って『トモちゃん。』ってさ。
彼は私をどんな存在だと思ってるんだろう。
友達・・・かな。
ただの絵描き友達。
共通点はそれだけ。
画材を一緒に買いに行って一緒に絵を描く。
でも、一緒に描いたのなんて一度だけだ。
智くんが描く絵を一度だけ見た。
私には追いつかない。私の絵なんて本当に趣味みたいなもの。智くんは個展までやる人だ。レベルが違う。
そう。私と智くんは全然違う人。
合わないよ。
智くんのあの笑顔がいつも頭をよぎる。
優しく笑う人。
ふふふと笑って私を見つめるその笑顔が好き。
あの大きくて綺麗な手で絵を描く。
一度だけ手が触れた時ドキッとした自分を思い出した。
こんなに好きだったんだ、私。
私はもう迷うことなく智くんへ電話をかけた。