12月3日の第46回「どうする家康」は「大坂の陣」です。

 「天下を我らの手に取り戻そう」と淀殿は戦いを鼓舞している

  梵鐘の鐘銘で、「面白い」と不穏な発言する茶々

NHKの「どうする家康」第46回予告編の「大坂の陣」では・・豊臣家復活を願う方広寺の鐘に、徳川家康を呪う言葉が刻まれたという。家康は茶々が徳川に従い、人質として江戸に来ることを要求する。これに激怒した大野治長(修理)は両家の仲介役・片桐且元の暗殺を計画する。

豊臣側の強気な対応に、家康はついに14年ぶりの大戦に踏み切る。いよいよ「大坂の陣」の始まりです。全国の大名に呼び掛け、30万の大軍で大坂城を包囲、三浦按針に命じて手配したイギリス製大筒を配備した。

しかし、いざ戦いとなったら徳川の前に出城“真田丸”が立ちはだかる…という展開のストーリーとなるようです。

 

前回までのドラマの流れは、大御所となった家康は、建前は豊臣秀頼への天下移譲を掲げるも、己の後継者の秀忠の凡庸さと普通の良さをわきまえながらも一抹の不安にかられる。そんな時に、亡き秀吉の願いであった方広寺の大仏が完成し、大仏開眼供養が行われようとしていた。そこに大きな問題が発生する。本多正純が家康に「大仏殿の巨鐘に刻まれた銘が問題となっている」として、何と「鐘の銘は家康の名を首と胴に切り分け、豊臣を主君とする世を楽しむ。と記されており、明らかに呪詛(じゅそ)の言葉である」と報告。

徳川方の指摘に対して豊臣側は「言いがかりだ」として鐘の銘による呪詛を否定した。

「大坂の陣」の契機となった方広寺の鐘銘には「国家安康(こっかあんこう)」「君臣豊楽(くんしんほうらく)」と刻印されることになる。ドラマは、従来の激怒した家康が言いがかりをつけた通説とは異なります。

怖いのは、45話最後に、複数案に目を通した茶々(淀殿)が「面白い。面白いのお」と自ら不穏な文言を選んで、挑発したとも受け取れる描き方となっています。

多分、ドラマ前半で豊臣方の家老で徳川との連絡役でもある片桐且元が、秀頼に家康側の言い分の「鐘の銘は甚だ不届きとのことで、鐘の銘をすり潰すように」と、さらに「この大阪からの退去を家康がお求めになっている」と伝える。

 これを聞いた茶々はもちろん、茶々お気に入りの大野治長は憤怒します。且元は「修理!戦さをして豊臣を危うくするきか」と大野治長を一喝。こうした流れに治長は、且元が徳川家康との内通を疑い始める。

両者の間に妥協の余地がないのか戦の気配が濃厚となり、家康も孫娘の千姫への心配が募るも、戦さをやるならとことんやろうと決意する。ドラマでは家康も「徳川が汚名を着る戦さとなろう」と語り、「汚れるのは自分一人」とあきらめ顔となるのでは。

○今回の見どころは・・・「大坂冬の陣」は慶長19年11月19日に、徳川軍が大阪城の西方にあった豊臣軍の拠点である木津川口の砦を攻めたことで始まり、大阪方の砦を次々と攻め落とすも、大阪城は難攻不落の城だけに豊臣方は籠城作戦に切り替えて抵抗したことで、包囲戦となります。

徳川軍は膠着状態から戦局の転換を目指して出丸の真田丸への攻撃を敢行した。しかし、反徳川の急先鋒であるおなじみの真田信繁にまたしても徳川軍は敗退してしまいます。

 

○「大坂冬の陣」の“華”といえば

 真田丸で戦うことになる真田信繁

  真田丸の城跡碑

「真田丸」は、三方を河川に囲まれた難攻不落の大坂城の中にあって、唯一、地続きになっていたことで徳川方は攻め込みやすいと攻めかかった。実は、真田信繁は、堀をめぐらせて三重の柵を備え高さも6、7㍍までかさ上げした「真田丸」を設け、高密度に配置のできる掘(穴)をめぐらして、足元には竪堀や横堀を穿って防御を固めていた。一見、攻めやすいと見せかけて徳川軍をおびき寄せたと言われています。

信繁の罠にハマったのは、徳川軍の先鋒隊1万2000余で、真田隊は一斉に火縄銃を撃ち掛けて追い返し、さらに突撃してきた徳川軍1万4000余も撃退した。戦いの始まりは真田隊が挑発のため篠山から前田利常隊に銃弾を浴びせた。

これに反応した前田隊は前進して真田丸に迫ります。これを見た松平忠直隊なども、それ遅れるなと攻めよします。充分に徳川方の攻撃隊を引きつけた信繁は、高所から一斉射撃であしらいます。しかも、退却させない程度の被害に止めて、さらに攻めかからせて最後は大打撃を与えたとされます。

まさに徳川秀忠軍を苦しめた「上田合戦」の再来で、積極的な防御体制で、徳川軍を引き寄せて、初戦は多くを叩かず、十分引きつけて一気に叩いてしまう。

○大坂城攻めでは、淀川や大和川の流れを変えて水位を下げ、水位の下がった川を兵が渡って大坂城に接近する作戦が取られた。そして、徳川家康は激しい砲撃で豊臣軍を威嚇して、豊臣方・淀殿などを疲弊させた。

砲撃には、ウィリアム・アダムスに命じて輸入された大筒(おおづつ・カルバリン砲)や国産の大砲を投入し、大阪城に向けて間断なく撃ち込んで豊臣方を震撼させた。中でも、大坂城本丸を直撃した一弾は淀殿の侍女8人を殺傷する惨事となり豊臣方は徳川方との和議に応じた。

 

次回、47話は「乱世の亡霊」のようです。