オタ芸に対する最高裁の判断 | トラネコの落書き

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ネットを見ていると、神戸のご当地アイドルのライブを身に来ていた観客が、オタ芸をしている人達のMIXで歌詞の3割も聞こえなかったとして、損害賠償とライブのやり直しを求めた裁判の判決があったようです。

結果は、観客側の上告を退け、主催者側の勝訴となりました。

 

観客側は、どういう請求で組み立てたのでしょうか。

おそらく、債務不履行責任でしょうかね。

故意または過失により、債務が適切に履行されなかった場合、損害賠償を求めるか(民法415条)、完全履行を求めるかができます。(契約解除をすることもできますが(民法541条または543条)、ここでは関係ないので割愛します。)。

この場合、ライブの提供ですね。

主催者側はオタ芸をやめさせたり退場させる措置をとるべき義務があるにもかかわらずそれを怠り、観客に十分にライブを鑑賞させなかったものとして請求を組み立てたものと思われます。

 

これに対して、運営側からは、あくまでも推察ですが、ライブでどたきゃんしたり、出演者が歌わなかったりなどはなく、完全な形でライブの提供は行われている以上、ライブを提供するという義務は履行されているという反論でもあったのかな、と思います。

 

この先は個人的な意見ですが、この結論は、正当だと思います。

運営側としては、出演者に対しての妨害とか、物を投げるとか、そういうった常識はずれの行為であれば、運営側もライブの開催を行えなくなる危険がある以上、迷惑行為をとめる義務もあると思います。

しかし、今回の場合は、ただMIXをしていただけと仮定した場合、何らライブの開催自体を妨げるような行為を行っていたわけではなく、楽しみ方も人それぞれである以上、運営側にやめさせる義務を課すのは酷であると思います。

しかも、これが勝訴になってしまったら、観客もMIXしただけで、ライブを聞く権利を侵害したものとして、損害賠償請求を受けるということにもなりかねません(不法行為に基づく損害賠償請求といいます。民法709条)。

このように考えると、最高裁の判断は妥当と思います。

 

とはいえ、過度に騒ぐことはよろしくないものですね。

しっかりと節度を持って、ライブやアイドルは楽しみましょう。