モデルズとお山からの智潤&櫻葉のお話でーす。 

引き続き作中相松要素がありまーす

 

 

 

 

AVENTURE

 

 

 

 

 

 

「どーぞ、上がって」

 

「お邪魔します」

 

 

 

初めて入るリーダーの家は思ってたより綺麗にされてて驚く

てか趣味のものに溢れてて他の生活感が無い

 

そこら辺の床に靴下でも落ちてそうだなって思ってたのに

 

 

 

「あんまキョロキョロすんな恥い」

 

「いや、綺麗にしてんなって思って」

 

「そうでもねぇだろ」

 

 

 

「適当に座ってて」って言う言葉に甘えてソファに座る

俺が寝るには少し小さいけどリーダーならすっぽり収まりそう

 

ベッドじゃなくてソファで寝るって言ってたけど

このフカフカな感じは確かに・・気持ちよさそう、かも?

 

それでも俺はベッドがいいけど

 

 

 

「とりあえずビールでいい?」

 

「あ、うん」

 

 

 

ゴトっと置かれた缶ビールを手にして「乾杯!」と何に乾杯するかもわかんないままカンッて合わせる

 

グビグビ一気に流し込めば程よいアルコールが喉を焼いた

 

 

 

「プハーーっ!最高!」

 

「ハハハ!」

 

 

 

楽しそうな声とアルコールの熱に煽られていつもよりハイペースで缶が空く

 

嫌な事全部忘れて俺の友達の話や大野さんの船長の話なんかをグダグダ喋って

ふたりで十缶くらい開けた頃、唐突に話題が切れてシーンとなった

 

 

本当なら

今頃こんな風に喋って笑い合ってるのは雅紀とのはずだったのに

 

そう思ってしまったら次から次にボロボロと涙が止まらなくて

 

いきなり泣き出した俺に寄り添うように

向かいに座ってた大野さんが俺の肩を抱いてティッシュを押し付けてくる

 

 

 

「ぅううっ、ふふ、いたい、ぐすんっ」

 

 

 

ぎゅって目頭押さえてくんだもん

抗議したけど聞いてもらえなくて手をペチペチ叩いたら

慰めるみたいに肩に置いてた手が頭を撫でてくるから

余計に涙止まんないし

 

 

あーもー

 

 

 

「あのね」

 

「ん?」

 

「つまんない話なんだけどね、聞いてくれる?」

 

「うん」

 

 

 

頷いてくれる声が優しい

 

それに勇気を貰って、口に出来なかった光景を言葉にした

 

 

 

「雅紀ね、もう俺の事・・すき・・じゃない、かも、しんない・・・っぐすん」

 

 

 

うっ

言葉にすると鉛より重い

 

震える唇で紡いだ声は蚊がなくように小さくて

大野さんに届いたか分からなかったけど

 

大野さんは泣き続ける俺の頭を抱き寄せてコツンて自分の頭を寄せてくれた気配がしたから

きっとちゃんと届いたんだと思う

 

 

 

「なんでそう思うんだ?」

 

 

 

俺たちの関係はメンバーに話してる

雅紀の事も俺の事も知り尽くしてるメンバー

 

だから俺たちが喧嘩した時はきちんと両方の言い分を聞いてくれる中立の立場だ

 

でも

でもね

 

今回あなたには俺の味方でいてほしいって

グルグルする頭で思う

 

 

 

「俺・・っおれ、見ちゃ・・った、の」

 

「・・・・」

 

「・・・・・雅紀が、翔くんとキス、してた」

 

「・・・・・・」

 

 

 

俺を抱きしめる手が強くなる

 

目を覆ってた手がするりと外されてティッシュが膝の上に落ちるけど

それも構わずに大野さんを見たら

 

俺以上に苦しそうな顔をしてグッと唇を噛みしめる大野さんが居た

 

 

 

 

(つづく)