あいにの♀️のお話です。

女体化苦手な方は回れ右!

(モチーフ:青空の下、キミのとなり)

 

 

 

 

GRILPALTZER

 

 

 

 

 

「うわぁあああ!!」

 

 

 

素っ頓狂な声がしてガタガタッと何かが崩れる音がした

 

正直うるさい

 

またか・・って気持ちでパンッ!と濡れたシャツの皺を伸ばす

 

 

 

「なんでちょっとおれがやるから座っててよもうマジでヤバいってねぇえ!」

 

「うるさいアイバカ大人しくして」

 

「カズちゃんが大人しくしてて!」

 

 

 

ダッシュで近づいてきたまーが犬みたいな顔でウルウルしてる

 

そっと・・ていうかもう恐々触ってくる手が私の手からシャツを取って「背伸びダメ!」なんて怒ってる

 

 

 

「もしも倒れちゃったらどうすんの!」

 

「そんなヤワじゃねえわ」

 

「カズちゃんは今みーもなんだよ!?」

 

「なんだミーモって。新しい緑の妖精か?賃貸探してくれるのか」

 

「全然違う!」

 

「身重だろ、それを言うなら」

 

「あっ、それ!」

 

 

 

それ!じゃないし

 

臨月になってからより一層まーの過保護が加速している気がする

 

私が小さい体で体の半分もあるんじゃないかってくらいデカい腹を抱えてるからだろう

 

見た目がヤバいって言ってた

なにがヤバいんだまったく

 

失礼な

 

 

 

「とにかく洗濯はおれがやる!てか家事全部おれがやるから座ってて!」

 

「少しは動かないとって言われてるじゃん」

 

「一緒にお散歩でいーじゃんー!」

 

 

 

子供のように膨れて「これはおれが干しちゃうからね!」ってハンガーに引っかけてしまう

 

テキパキと動く背中を見ながらそっと大きなお腹に手を添えて撫でた

 

 

 

「お前のパパは心配性ですね~」

 

 

トントン

 

 

「お、蹴った。まー!」

 

「なにー?」

 

「お前心配性過ぎだって」

 

「心配するでしょ当然!」

 

「してくれんのはいいけどやり過ぎ。この子も今蹴ったよ、そうだね~って」

 

「えぇっ!?」

 

 

 

ガーンっ!てSEの付きそうな顔で洗濯物放り出したまーが

メソメソと縋るみたいにお腹に頬を寄せてくる

 

 

 

「しつこい?それってしつこいってこと?だって心配しちゃうよどうしても」

 

「先生にも言われたろ、まずはお前が落ち着けって」

 

「そうだけど・・だってやっと出来たおれたちの子供なんだよ」

 

 

 

そうだね

 

私はなかなか子供が出来ない体でまーは一緒に不妊治療を頑張ってくれた

 

子供が大好きなまーに産んであげられない事がツラくて苦しくて

 

「バイバイ」ってした事だってある

まーに必要なのは私じゃないんだって思ったから

 

離婚届だけ置いて逃げて消えて・・・

 

でもまーは追いかけてきてくれた

私を捕まえて「カズがいないのムリ!」って抱きしめてくれたんだ

 

二人してグシャグシャに泣きながら抱き合った

あの腕の熱さを私はずっと覚えてると思う

 

 

 

「わかってんじゃん」

 

「ん?」

 

「この子は私たちの子供。まーだけ頑張る事ないの」

 

「カズちゃん・・」

 

「私が大丈夫っつってんだから信じてよ。心配しなくても元気な子産んでやるから」

 

「うん・・」

 

「無理のない範囲で動いてるし、そっちのが陣痛促進されるってさ。早く会いたいでしょ?」

 

「もちろん!」

 

 

 

しょんぼりしてた顔を上げて

当たり前!って力強く頷いてくれる

 

どれだけ不安になっても大丈夫

 

いつも笑って傍に居てくれるから

 

何があってもまーが居てくれるなら乗り越えられる

 

調子に乗るから言わないけど

 

 

 

「この子ごとカズちゃんの事はおれが守るからね!」

 

「はいはい大げさ大げさ」

 

「大げさじゃないよっ、おれの愛は深いんだからっ」

 

「知ってる知ってる」

 

「もうっ愛してるよカズちゃん!」

 

「ん!」

 

 

 

ムチュッって口を塞がれる

 

まーの方が口が大きいからいつもパクリなんだよね

 

 

 

「へへっカズちゃん顔真っ赤~♪」

 

「・・うっさい」

 

「へへへっ」

 

 

 

鼻先で覗き込んでくる顔があんまり幸せそうだったから

 

普段言えない愛してるの代わりに

 

私からもムニュッと口を押し付けておいた

 

 

 

(おわり!)