連載小説 幽霊パッション 第三章 (第九十三回) | 水本爽涼 歳時記

連載小説 幽霊パッション 第三章 (第九十三回)

  幽霊パッション 第三章    水本爽涼                                                                           
                                         水本爽涼 歳時記-幽パ③ 93                                   
     第九十三回
『でも、なんかもう一つなんですよね。シックリ! しないっていうか…』
「なにが…?」
『云うまでもなく、正義の味方活動ですよ。地球の…』
「地球語は完成したんだし、君も昇華決定なんだから、それでいいじゃないか

『それは、そうなんですけどね…』
「だいいち、霊魂になった君は、もう如意の筆が使えないんじゃないか? あっ! それそれ。如意の筆は、どうなったんだ? 消えたのか? それとも、返したのか?」
『まあまあ、課長…。そう捲(まく)し立てないで下さいよ。如意の筆は、まだ内蔵されてますよ、僕の身に』
「? …って、霊魂の中にかい?」
『ええ…』
 霊魂平林は、さも当然のように肯定した。
「…そうなのか。で、いったい、何が心残りなんだ?」
『心残りっていうより、蟠(わだかま)りなんですよね。早い話、トラウマになってるってことです』
「なにが?」
『放射能汚染と病気関係です』
「偉く大きな課題だな。如意の筆で念じれば、恐らく、どちらも解決するか、解決に近い形になるんだろうがな」
『と、云いますと?』
「病気は、その人間の寿命以外、いや、弱肉強食は除外したすべての生命の寿命以外は完治するとか…。放射能汚染は、ある物質を変異させた光線を照射すれば消滅するとかだ。物質は、すべて+(プラス)があれば、必ず-(マイナス)が存在するように出来ているそうだからな。放射能を吸収する物質は必ずあるはずだよ」
『なるほど。それ、いいいですね。如意の筆の荘厳な霊力なら、可能かも知れません。いや、確実に可能でしょう』