連載小説 幽霊パッション 第三章 (第四回)
幽霊パッション 第三章 水本爽涼
第四回
『皆さん、よい意味で発想がアグレッシブになったってことですね』
「ああ…、ポジティブ思考へ発想を変えさせるんだから、その霊力は大したもんだ」
上山は、幽霊平林の胸元を指さして云った。如意の筆はピカリピカリと金色に光り輝いて眩(まばゆ)い。
『そうなると、人類は一歩前進したことになります』
「ああ、霊力が一過性のものじゃなければな…。いつやら従兄弟が云ってたからさ。人類の歴史は戦争の歴史だと…。まっ! ひとまず争いごとはこれでいいと…。次は地球環境の早急な是正だ」
『コップでも、何やら各国の思惑が違ってモメてましたからねえ』
「ああ…。コップでもグラスでも、いいんだがな」
『課長! 上手い!』
「ははは…冗談云ってる場合じゃないんだが…」
『地球温暖化防止っていいますけど、二酸化炭素の排出量を減らしても、根本的な解決にはなりませんよね』
「ああ…。世界中の車は、今の段階でも相変わらず化石燃料でCO2を撒き散らしてるしな」
『ええ…。霊界では霊達が飛び交ってますが、車は走ってないですから…』
「ははは…上手い! そうきたか。今度は私がやられたよ」
『いやあ、冗談云った訳じゃないんですが…』
幽霊平林は幽霊お決まりのポーズを崩し、片手でボリボリと頭を掻いた。
「雑談はこれくらいにして、さて、目に見えない温室効果ガス問題をどうするかだ…」
上山が両腕を組んで考え始めると、幽霊平林も追随して腕を組んで従った。その姿を見た上山は、思わずニタリとした。
『また、ノートに書かれますか?』
「ああ、これは大きな問題だからな。コツコツと原因を紐解いて、解決の手立てを講じよう」
『はい! 念じるのは僕に任せて下さい』
「任せるって、私は念じられんからな、ははは…、無論だ」