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明暗ユーモア短編集(全100話)3/14~ 連載中![隔日連載] ^^
逆転ユーモア短編集(全100話)<再掲>1/10~ 連載中![隔日連載] ^^
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明暗ユーモア短編集 (40)攻守(こうしゅ)
攻(せ)めは易(やす)く、引くは難(がた)し・・という格言めいた言葉がある。確かに、攻めるときは猪突猛進(ちょとつもうしん)して相手を撃破すればいいだけだから、やり易いといえばやり易い訳だ。そこへいくと引く方は、少しでも犠牲(ぎせい)を小さくして守りながら撤収(てっしゅう)を計(はか)るのだから難(むずか)しい。攻めは自分、あるいは自陣が優勢にあるから、自(おの)ずと気分も明るくなる。その逆の引きは、劣勢なのだから苦渋(くじゅう)に満ちた気分で、自ずと暗い。この内容は争いごとに留(とど)まらず、社会のありとあらゆる人と人、いや、今やミクロ(極小)のウイルスとマクロ(極大)の人々との間でも繰り返されている訳である。どうも現在は、人が守りに入っているように思えてならない。皆さん、医学の叡智(えいち)を結集し、攻めに転じようではありませんかっ!
どこにでもいるような二人の男が、談義している。
「いやいやいや! ここは、ひとまず一端、引いて、次、いや、次の次、いやいや、次の次の次でもいいじゃないですかっ! 私は開催には全(まった)く反対ですっ! 苦渋の決断であれ、我が国が世界史に禍根(かこん)を残すようなことが絶対あってはならないっ!!」
「そうは申されますが、政府は開催に前向きですよっ!」
「ですがっ! と申しておきましょう…。アスリートの立場に立てば、何かいい方法はっ!? なんでしょうが、世界大戦で中止された大会と今回の大会は、事情こそ違え、全く同じですよっ!」
「… まあ、それは言えますが…」
「守り、守りっ!」
「確かに、攻めている状況ではないようですが…」
「世界の祭典として開催できる条件が、残念ながら幾つも整っていませんっ!」
「…暗い話は、やめますかっ!」
「ですなっ! ははは…腹が減りましたっ!」
二人は俄(にわ)かに明るくなり、定食屋へと向かった。腹が減っては暗い話も出来ない訳である。^^
完
逆転ユーモア短編集 -70- 時間配分 <再掲>
人の生き様(ざま)には関係なく、時間は誰にも平等に流れている。ということは、有効に上手(うま)く時間を使い熟(こな)した人が好結果を得られるということだ。時間を逆転させ、過去へ戻(もど)れない以上、これから先の時間配分は人生を成功させる重要な鍵(かぎ)となってくる。
とある店の事務所前である。
「土鍋(どなぺ)さん! 申し訳ないんですが、明日の昼出(ひるで)なんですが、朝勤(あさきん)でお願いできないでしょうか?」
「なにかあったんですか?」
「ええ、実は朝勤の鉄蓋(てつぶた)さんに急用ができましてね…」
事務の係長、焼石(やきいし)は勤務簿を見ながらロッカールームから出てきた土鍋に懇願(こんがん)した。土鍋としては突然、湧(わ)いた話である。明日は昼出だから午前中に煮物を作っておこう…との腹積(はらづ)もりだったから、さて、どうしたものか…と一瞬、戸惑(とまど)った。
「いや、何かご用がお有りなら、どうしてもという訳ではありませんので…」
焼石は美味(おい)しいビビンバのように、サッ! と体を躱(かわ)して引いた。相撲で言うところの立ち合いの変化である。
「いや、そういう訳では…」
土鍋はあっけなく土俵に転げ落ちた・・という訳ではなかったが、機先(きせん)を制(せい)された。
「そうですか。でしたら、よろしくお願しますね。お疲れさまでした」
リズムよくトントントン・・と畳(たた)みかけられては、土鍋としても断る訳にはいかない。「はあ、分かりました…」と、思わず頷(うなづ)いてしまった。
帰路、土鍋は自転車を漕(こ)ぎながら思った。
『そうだ! 時間配分を変えればいいだけのことだ…』と。時間配分を変え、明日の昼から煮ればいいだけのことなのだ。何も、必ず朝に煮なければならない・・という話ではなく、急ぐ訳でもなかった。土鍋は、朝から煮物を…との考えに捉(とら)われ過ぎたばかりに、時間配分を忘れてしまったのである。火を止めても、土鍋はしばらくの間、熱を保つから雑炊(ぞうすい)には適している。
完
明暗ユーモア短編集 (39)オリジナル
オリジナルとは、今までになかった新しい考え方や新しく作られた物である。では、オリジナルの物を使って新しく作られたものや新しい考え方はオリジナルではないのか? という問題に突き当たる。正解はオリジナルではなくオリジナルに近い物[モドキ]ということになるだろう。発明や発見されたものを元に新しく考えられたり作られたものは実用新案と呼ばれているが、その類(たぐい)だ。ナントカ賞は戴けるのだろうが、画期的でないだけに実に暗い。^^ 困ったことに電子計算機[コンピュータ]を生み出した人間が、今やその電子計算機で新しい物を作ったなどと過信する情けない時代なのである。社会を明るくするような画期的な発明、発見がなされていない事実も頷(うなず)ける。
とある研究所である。
「先生っ! 出来ましたっ!」
今年、助手から講師に昇格した鼻下(はなした)が明るい満面の笑顔で顎野(あごの)教授に告げた。
「出来たのっ!? 妙だなぁ~。私の考えだと出来る訳がないんだが…」
「それが出来たんですっ!」
「ほんとに出来たのっ!? どれどれ…」
顎野教授は電子顕微鏡を覗(のぞ)き込んだ。
「おおっ! き、君っ!! どんどん減ってるじゃないかっ!!」
「そ、そうなんですっ!! やったぁ~~!! ぼ、僕、ノーベル賞、もらえますかねぇ~!?」
「もらえる訳(わきゃ)ないだろっ! この薬品は僕が考え出した薬のコピーなんだからさっ!」
「オリジナルじゃないってことですかっ?」
「ああ、まあそうなるわなっ! 僕が先に発明した薬のコピーなんだから…」
「そうなりますか…」
「ああ、そうなる…」
鼻下の明るい顔は急にショボ暗くなった。
オリジナルは明るくなり、そうでなければ暗くなるのである。^^
完