おおちゃんの店を出ると、
外は とっくに陽が落ちて、
昼の暑さを吹き飛ばすような涼やかな風が気持ちいい。
「わ、久々に飲んだわぁ。」
少し紅がさす頬に手を当てた翔ちゃんの色っぽさにどきりとしながら、
その姿に見惚れて何も返事を返せないでいると、
そんな俺の方を振り向いて、
「な、雅紀。潤。
久々だから、もう一軒行かない?
もっと話そうぜ。」
翔ちゃんが、俺と松潤に声をかけてくれる。
わ。まじか。
まだ翔ちゃんといられる?
どきっとしながら、
どう言葉を返せばいいのか
心をあぐねていると、
松潤が,スマホの画面を睨みながら
先に答える。
「ごめん。俺さ。
実は、次が先約ありでさ。
知り合いが違う店で待ってんのよ。」
「え、松潤?
彼女?」
思わず言葉を返すと、
松潤が苦笑いしながら、
顔の前で横に手を振りかえす。
「ちがう。ちがう。
ダチ。悪友ってやつよ。
翔さん、知ってるでしょ?
あいつら。旬たち。」
「ああ。
松潤は、有名芸能人たちのハブだからな。
『全ての芸能人は 松本潤に通じる』ってな。」
「おいおい。翔さん。
その、
「全ての道は ローマに通ず」みたいな言い方やめてよ。
相変わらずの『蘊蓄王』だし。」
「それは昔っから。
な、雅紀。」
翔ちゃんと、松潤の華やかな芸能界の会話を、
違う世界の会話だと、
眺めていた俺の方を、
翔ちゃんが急にくるりと振り向いて、
話をふられて
「あ、ああ。
昔っからだよね。」
慌てて言葉を返せば、
「そう。昔だからだよぉぉ。
俺と、雅紀の仲も。」
翔ちゃんが、
ふざけたように俺の肩を組んで、
自分の方にぎゅっと引き寄せる。
「じゃ。
松潤にも振られたから、
俺たちは2人で飲んでこうぜ。
な、雅紀。」
「ん。うん。翔ちゃん。」
俺は急に俺の体に触れてくれた翔ちゃんの温かさにどきどきしながら頷くと、
「じゃ、相葉くん。
翔さん、酔っ払ってるみたいだから、
あとは任せた。
俺、あっちだから。
じゃあな。」
松潤はくるりと背中を向けると、
大きく手を振る。
背筋をピンと伸ばして
相変わらずカッコよく
向こうのほうに去って行く松潤の背中を、
俺と翔ちゃんはしばしそこで見送った。
⭐︎つづく⭐︎
コメントは非公開です。