ぷしゅ。
しゅわ。
缶ビールのプルトップをひきあげると、
縁起の良さそうないい音が鳴る。
「じゃ、改めまして。雅紀。」
「ご相伴に預かります。翔ちゃん。」
「せぇの。」
「「かんぱーい!」」
かちんと、缶ビールを鳴らして、
ぐぐぐぐ。
冷えた泡を喉に流し込む。
「ぶっはぁ。うま。」
「やっば。うまいね。
キンキンに冷えた缶ビール。」
はぁ。二人揃って息を吐く。
おおちゃんの店の酒が美味しくなかったわけじゃなく、
めちゃくちゃ美味しくて楽しくて、
良い酒だったけど。
やっぱり気のおけない人との 宅飲みは格別。
この一口で、
硬くなった心も溶けていきそうだ。
Uberで頼んだつまみも届き
割り箸をぱちんとわって、
一口 口にいれる。
「うま。」
「まじ。うまいな。」
お腹いっぱいだったはずなのに、
二人で 魚の煮付けなどつつく。
「あのさ。雅紀。
これだと 日本酒いっちゃう?」
「いいねぇ。翔ちゃん。
日本酒。びったりじゃん。」
そんなこといいながら、
飲む日本酒もめちゃくちゃ美味しい。
「なぁ、雅紀。」
「なに?翔ちゃん。」
「昔はさ。
日本酒なんて
いきがってグラスで飲んで、
味わいながら飲まなかったな。
一升瓶、そのまんま飲んでた馬鹿な奴もいたくらいだもんな。」
「うん。
馬鹿みたいな飲み方だったよね。
お酒の味も、全然わかんないのに、
量だけ飲めるやつがすごいって思ってた。
お酒に失礼なことしてたね。
ほんと。」
「ほんとだよ。
ま、こうやって 二人でのんびりと、
酒の味を味わいながら、
飲めるようになったのも、
少しは大人になったってことかな。雅紀。」
「うん。そうかも。
そう考えれば、
この年月にも感謝だね。翔ちゃん。」
そか。
そうやって考えれば、
こうやって翔ちゃんとさし向かいで
ゆっくり酒飲める日が来るとは思わなかったもんな。
今まで、
頑張ってきた日々や、
過ごしてきた経験は無駄になってないってことかも。
日本酒が入ったぐい呑みを握った手を見つめて、
それから、
視線を上げようと顔を上に向けたら、
「なぁ。雅紀。
今度いつ会える?」
翔ちゃんの顔が俺の目の真ん前にあった。
⭐︎つづく⭐︎
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