「はうっ!?」


顔を上げれば、

目の前に翔ちゃんの顔。


あと数センチでくっついてしまうんじゃと思うくらいの至近距離。


思わず、

俺の身体の中から

変な声が出る。



「だからさ。雅紀。

今度、いつ会えるかって聞いてんの?」


目の焦点が合わない俺に、

わざと目を合わせるように翔ちゃんは、

もっと顔を近づけてくる。




「って。翔ちゃんっ。」



そ、そうか。

翔ちゃん、

翔ちゃんがシャンパンこぼした時に拭いたハンカチ、

洗いたいって言ってたもんな。


それを返そうとしてくれるだけだ。



「あ、翔ちゃん。

ハンカチだったらさ。


俺、洗うから気にしなくて良いよ。


翔ちゃんのことだから、

クリーニングとかに出してくれるとか

考えてるんだろうけど。


そんなのもったいないから。


俺が家持って帰って、

ちゃんと自分で洗ってアイロンかけるからさ。


気にしないで。」



きょとん。


目の前にある翔ちゃんの顔が

真顔になる。



「え?雅紀。

何の話?」



「いや、何の話って、

翔ちゃん、シャンパンこぼした時に、

拭いたハンカチの話、してんじゃないの?」




はぁ。

翔ちゃんが、一つため息をつく。



「馬鹿だな。雅紀は。」



むう。


いきなり馬鹿といわれて、

俺の唇が尖る。



「なに?

翔ちゃんは、

なんで、いきなりそんなこというの?


俺が馬鹿なことなんて、

俺が一番わかってるって。


翔ちゃんみたいな、頭がいい人に言われたくないし。」




本気で睨みつけたら、




「ちがうよ。

俺は、そんなこと言ってんじゃないの。


もう、早く分かれよ。」


翔ちゃんの手が俺の顔の方に差し伸べられたと思ったら


翔ちゃんの人差し指と親指が、

俺の顎の下に添えられて、


くいっと顔が斜めに傾けられたと思ったら。




「! むむん!」



俺の尖ってた唇の上に、

翔ちゃんの唇が優しく乗せられた。







⭐︎つづく⭐︎









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