だいぶ昔に書いたものだが、自分でも今まで忘れていたww
古代ゲルマンに伝わる伝説の話だけど
なんとなく読んだら面白さを再発見したので転載するww
その舞台は南ドイツの黒い森
その森を支配していたニーベルゲンという神話的な一族の物語
彼らは族長ニーベルング、不死身の若い英雄ジークフリートを中心に
人類の未来を救う力を持つという正体不明の「宝」を守って深い森の中で暮らしていた
ところがあるとき、人類から未来を奪うため
ブルゴンドという魔族が森に侵入してくる
彼らは裏切者をそそのかし魔族の毒矢でジークフリートの背中の1点を射させた
そこだけが、不死身の英雄ジークフリートの、たった1つの弱点だった
不死の泉で産湯をつかったときそこにだけ、小さな木の葉が落ちてくっついたから、また一説では、退治した竜の不死の返り血を全身に浴びたとき、背中の1点だけ残ったそうだ
そこを射ぬかれた彼は、苦しんで死ぬ
魔族は森の奥の館を襲って「宝」を奪い、ニーベルンゲン一族の大半も魔族の猛毒で悶死した
でも、かろうじて生き残った彼の17歳の若妻クリームヒルトは
少数だけ残った「ニーベルンゲン騎士団」の若者たちと、たがいの胸を剣で傷つけ、血をすすり合って復讐を誓いあう
そして彼女は、「日の昇る東方のアジア王」の前に美しい裸身を投げ出し
ひきかえに協力の密約をとりつけ、アジア軍と騎士団の戦力をあわせて魔族に挑むことになる
そして何度かの死闘のあと、存亡を賭けた最後の決戦で
「ニーベルンゲン騎士団」は猛毒に苦しみながらも、火の剣で魔族を1人ずつ殺していく
クリームヒルトも、敵の首領の「魔王」と深く刺し違え、血と炎に悶えつつ息たえる
そして双方、全員が滅び、森も炎と毒で枯れ果てる
同時に空から燃える星が落ち、大地震と大落雷
赤ん坊の頭ほどの雹も降った
あとは焼け崩れ凍りついた死の静寂が、辺りを支配した
何かわからない未来の人類の「宝」だけが
ニーベルンゲンの廃嘘のどこかに、誰にも知られずに埋もれて静かに眠っている