前回は「ローマ人の物語」21巻について書きましたが、今読んでいるのは24巻。
22、23巻は、3人の哀れな皇帝の後を継いだ、ヴェスパシアヌス、その息子ティトウスとその弟であるドミティアヌス、この3人はユリウス・クラウディウス朝に代わって2番目世襲皇系のフラヴィウス朝をつないでゆくことになります。
自分が皇帝になろうとは思ってもいなかったものの、皇帝になったらなったで老練な手管で国をまとめたヴェスパシアヌス。
ヴェスパシアヌスの長男で、ローマの指導者として必須である軍団での実績を十分つけて皇帝を継いだものの、たった2年3か月、40歳でこの世を去ったティトウス。
このころ紀元79年。
あのヴェスヴィオ火山が噴火してポンペイの街を一夜にして灰の中に封印してしまいます。
ティトウスはこの噴火や、ローマの大火災、疫病など多くの災難を克服し、突然の死を迎えてしまうのです。
そしてティトウスの弟、ヴェスパシアヌスの二男で、元老院との対立、伴侶や親族との確執から最後は家庭内のトラブルから暗殺されてしまうドミティアヌス。彼は、ネロと同様に死後「記録抹殺刑」の名のもとに、ほとんどの公式な記録が消されてしまいます。
本来であれば、兄のティトウスの治世がもっと長く、その間に十分な経験を積んでいればこのようなことにはならなかったかもしれません。
彼の治世は15年もあり、その間ローマの安全を強固にするための施策を進めるなど、ネロに比べ決して悪政を施したと言うことではありません。
ただ、理想や自分の意見を通すために独善的な傾向が強く、元老院の反発を引き起こすことになってしまったのです。決して表面にはでないものの、ドミティアヌスの暗殺後速やかに「記録抹殺刑」で彼の公式的な存在を消してしまい、自分たちの保身を図る彼らのしたたかさには恐れ入ります。
そして、27年にわたり繋いできたフラヴィウス朝もここで息絶えてしまうのです。
その後、元老院から指名されたのはネルヴァ。
家系でいけば申し分ないものの、皇帝になった時点で70才。しかも子供もいないというからには、完全なショートリリーフとしか言いようがありません。
本人もわかっていたのでしょう。早々と後継者を指名します。
その名は、マルクス・ウルピウス・トライアヌス。
イベリア半島南部(今のスペイン)出身の44才です。
ネルヴァの治世は紀元96年9月19日から98年1月27日ですから、約1年半。
ついに、ローマ帝国は、首都ローマ出身でもなくイタリア出身でもなく、遠くスペインで生まれた皇帝の誕生を迎えることになったのです。
ネルヴァから始まる5人の皇帝は「5賢帝」と呼ばれます。
(治世の短いネルヴァはトライアヌスを後継者に決めただけで賢帝と呼ばれたと言う話もあります)
このあたりでちょうど紀元100年。
この大帝国ローマが滅亡するまで300年。
紀元前753年に始まったローマの歴史も後半に入ってきたようです。
一見盤石に見えるローマはここからどのような道をたどってゆくのでしょうか。