塩野七生さんの「ローマ人の物語」もやっと紀元前から紀元後に入りました。


当然当時の人はそんな時代の数え方はしていなくて、「誰が執政官であった○年」という表現の仕方だったそうです。


確かに、西暦でいうところの紀元ってキリストの誕生が起点なので、そんなこと当時は誰も知らないですからね。


もうこの時には、ヨーロッパ西側、中東、北アフリカも実質支配してたわけですから、当時の日本の状況と比較すると、相当高い文明を持っていたことがわかります。


あれだけ興隆を見せたローマが今はイタリア半島に収まっているなんて不思議です。


さて、共和政から帝政に移行させてゆくアウグストゥスですが、この16刊で77年の生涯に幕を下ろします。


高度成長の集大成をカエサルが行い、その暗殺後は慎重に共和政派に気づかれず、かつ着実に帝政に変えてゆくアウグストゥスは、カエサルの遺志をカエサルとは全く違う方法で実現したといえるでしょう。


長きにわたって政治を取り仕切り、77歳まで生き、彼に向けられた称賛の数々を見れば、それだけで彼は運がよく、幸せだったように見えますが、プライベートではそうでもなかったようです。


今では遺産は基本的に自分の孫子に譲るというのがあたりまえですが、当時のローマにはそういう発想はなかった。

しかし、友人や世話になった人、目をかけている人などに遺産をあげることが決して珍しくなかった時代にアウグストゥスは徹底的に自分の血にこだわった。


自分の子孫を、自分の血をひいた者を後継者にするために、ありとあらゆる策略をめぐらせたのです。

しかし、そのいずれも成功しなかった。

ある者は戦いで、ある者は病で、そしてある者はその立場に溺れてしまい、彼が用意した舞台から彼よりも早く降りることになったのです。


自制心が強く、ローマ世界の安定のために心血を注ぎ、それが思い通りすすんだにも関わらず、アウグストゥスという人は幸せだったのでしょうか。


自由奔放に生き、そして志半ばで命を絶たれたカエサルと天寿を全うしたアウグストゥス。


この2人がいたからこそ、ローマは高度成長期から安定期に移行することができました。


しかし、共和政の限界を理解したからこそそれに代わる政体を作ろうと命をかけた2人と生まれながらに皇帝になる権利をもった者が同じ志でその役目を果たせるはずがありません。


この後に皇帝になる悪名高きカリグラやネロに代表されるように、こののちローマ帝国は衰退への道を歩みだします。


スターウォーズの話にも共和国軍と帝国軍の戦いが描かれていますが、恐らくルーカスの頭にはこのローマ帝国の歴史があったのではないでしょうか。


少なくとも、ローマの歴史は西洋の人の歴史観には大きな影響を与えているのは確かだと思います。