今は経済環境が厳しいため、ほとんどの業界も経費削減を余儀なくされていることは言うまでもありません。

その中でも広告宣伝分野は真っ先にその対象になってしまいます。

たとえば、最近(特に夕刊)が薄く感じることはありませんか。

あれは広告が入らなくなってしまったからと聞いています。


但し、このような状況でもプロモーション活動がゼロになるわけではありません。


展示会の場合、出展の申し込みはおおよそ6か月前。

今から遡ると10月初旬ですからリーマンショックの前あたりです。

当時はここまで厳しくなるだろうなんて思いもよりませんでした。

そして半年。多くの会社は申し込みもして「コマ代」と呼ばれる場所代も払いこんでいるために泣く泣く出展するしかない状況になっています。中には、コマ代は捨てて何も設置しない(空きスペースのまま)という会社も見受けられます。

そこまで、追い詰められている会社も世の中にはあるわけです。


ここからが明日から開催されるイベントのある会社のブースでの話です。

そこでは社員の知恵と工夫により大幅なコストを削減しながら、必要十分な展示スペースを展開しています。


展示会には大きく分けて、先ほどのコマ代に加え、展示ブースを構える「装飾代」とコンパニオンだとかナレーター、商談スペースでの茶菓など「運営費」、それから出展にともなう「物流費」などがかかります。


この展示会は対象がコンシューマ向けではなく扱い商品が産業用の素材部品のため「商品力とプレゼンテーションで勝負」というものなのですが、これまでは、ある装飾会社に設計施工を「お任せ」をしてできるだけ「値引き」をお願いするという姿勢で進めていました。

当然そのような話になれば、業者も厳しい予算の中では特別に展示ユニットを作成する訳にいかず、展示会特有の「レンタル品」を採用する訳です。

そうすると何が起こるか。

何の特色もない「レンタル品」の組み合わせで特色のない、いわゆる無味乾燥なブースが出来上がってしまうんですね。

「とりあえず、がんばりました」みたいなブースになっている。決してそれは装飾会社を責めるわけにもいきません。


今回その会社は、「装飾はゼロベースで考えよう」としました。

結論から言うと装飾コストは5分の1で済ませたのです。


なぜか…

それは、装飾を思い切りシンプルにしただけではなく、自分たちで展示台や受付に合うような家具をIKEAで選び、使い回しができるようビス止めをナット締めに付け替えました。

壁面への装飾は一切なし。パネルは流用。

そうすることにより、とても5分の1のコストで出来上がったブースとは思えないようなものに仕上がったのです。

展示台は会期終了後に分解して、社有車で運んでしまいます。

ビス止めではないので、何回も組立・分解は繰り返せます。

それらの作業も自分たちで行ってしまうところに、彼らの意志から生ずる知恵の力の素晴らしさを実感しました。

とても○○円でこれだけ揃えたと思えない仕上がり。

イベントに携わる身として、原点に帰ることの大切さも思い知らされました。

反省と感動。


「カネがないから、質素になりました」というのも「トレードショー」としては寂しいと言うか、盛り上がりに欠けるもの。「本当にこの会社やる気あるの?」と思われては身も蓋もないことになってしまいますが、この会社のブースは決して派手ではないものの、コストを抑え、「必要十分」なものを自分たちの工夫で仕上げて乗り切ったのです。


私たちはどうしても競合他社が立派に装飾をしてライトも煌々としているのに、こちらは青白い蛍光灯でボンヤリ照らしているだけであれば、お客さんの気持ちは、どうしても明るい方に向いてしまうと思いがち。「恥ずかしくないものを」と言う意識に飲み込まれ、結果的なコスト増加につながってしまうことがよくあります。


でも、ここで立ち止まる勇気。割り切る決断力と責任感があれば、「必要十分」な展示に収斂してゆくのだとおもいました。


最後に誤解がないように言いますと…

決して派手なトレードショーを否定しているわけではありません。

ショーという限りは「お祭り」の要素が必要な場合も当然あります。未来や夢をわかりやすく示すことも必要でしょう。

実際にすべてでそんなことができるの訳がありません。

私が述べたかったことは、「丸投げして、コストを叩く」ではなく、意志と知恵と工夫をわれわれ自身が持たなければ、企画会社や装飾会社に任せていてもいいものはできないということなのです。

今回は決して5分1になったからすごいということではなく、お金をうまく活かしたということだと思います。


本当に小さな展示ではありますが、とても多くのことを学ぶことができました。