「娘の名前は?」
「愛海」
「あいか?」
「そう、愛する海って書いて、愛海って言うんだ」
中山愛海!
まさか、同姓同名?
「可愛い子なんだよ」
桃花は急に気になってしょうがない。
まさか、あのキュートな愛海のパパがこんな化け物のはずが……。
でも愛海から父親の話を聞いたことがない。
そうだ、いつもママの話はするが、父親の話をしない。
でも、まあ普通そうだ、私だって、父の話なんかしない。
そうだ、きっと同姓同名なだけだ。
じゃないと、愛海が可哀想。
愛海のイメージが台無しじゃないの。
でも気になるじゃない。
「写真か何か持ってる?」
桃花は思い切って聞いた。
「見せたげるね」
若菜ちゃんは照れくさそうにかばんを探った。
そして一枚の写真を取り出した。
そこに写ってるのは間違いなく、愛海だった。
小学生くらいの愛海だが、面影が残ってる。
いや、今だって幼く見える愛海そのものだ。
ただランドセルを背負ってるから、小学生だと分かるだけだ。
愛海のお父さんだったの?
嘘でしょ。