一瞬、沈黙。
そしてざわめきが歓喜に変わった。
悲鳴に近い声がした。
「ファンなんです」
そう言って、一番に蘭子が桃花の両手を握りしめた。
それから代わる代わる桃花に握手を求めだした。
写メ撮っていいですか。
そう言う前に撮ってるし。
「週刊誌に売るなよ、その写真」
フラッシュの嵐。
「えっ、その格好、変装ですか」
「うん、まあ、そんなとこ」
桃花は自分が森ガールの格好をしてることが改めて恥ずかしかった。
「パパラッチ大変ですね」
「バンド頑張ってください」
「ほんと、かっこええなあ」
と、バイクは順番に去っていった。
最後に、蘭子がルカに向かって、
「桃花さんなら仕方ない。諦めるぜ、初恋だけどな」
そして桃花を見て、敬礼をした。
特攻隊か。
「おめえの女の趣味はほんと、最高だな」
とルカに向かって、親指を立てた。
いちいち昭和っぽい。
そして蘭子は走り去っていった。