タイトル「森ガールと盛りあガール」 129 | 可愛い君に愛を囁きたい

 一瞬、沈黙。

 そしてざわめきが歓喜に変わった。

 悲鳴に近い声がした。

「ファンなんです」

 そう言って、一番に蘭子が桃花の両手を握りしめた。

 それから代わる代わる桃花に握手を求めだした。

 写メ撮っていいですか。

 そう言う前に撮ってるし。

「週刊誌に売るなよ、その写真」

 フラッシュの嵐。

「えっ、その格好、変装ですか」

「うん、まあ、そんなとこ」

 桃花は自分が森ガールの格好をしてることが改めて恥ずかしかった。

「パパラッチ大変ですね」

「バンド頑張ってください」

「ほんと、かっこええなあ」

 と、バイクは順番に去っていった。

 最後に、蘭子がルカに向かって、

「桃花さんなら仕方ない。諦めるぜ、初恋だけどな」

 そして桃花を見て、敬礼をした。

 特攻隊か。

「おめえの女の趣味はほんと、最高だな」

とルカに向かって、親指を立てた。

 いちいち昭和っぽい。

そして蘭子は走り去っていった。