タイトル「森ガールと盛りあガール」 101 | 可愛い君に愛を囁きたい

コンテストが始まった。

いつまでたっても桃花は現れない。

さっきから、すごいロックな曲ばかりだ。

司会はテレビで見る女子アナだ。

「それではエントリーナンバー3番、ユニオン・キラー・サッドネス」

 女子アナウンサーがそう言うと、会場が真っ暗になった。

 そしてスポットライトが会場に当たった。

ステージ場に突然現れた桃花に、あっけにとられた。

虹色のモヒカン風ヘアースタイル。

側面をカリアゲて、ツンツンに伸ばしたモヒカンは虹色のグラデーション。

派手なメークで、レザーのジャケット。

腕にはハートのタトゥー。

ただ、ジャケットの下には、森ガールみたいな花柄ワンピース。

スカートは斜めに切れていて、ガードルの隙間から生足が見えている。

ストッキングにはバラの花と、茨が巻きついている刺繍がしてある。

メタルでもなく、パンクでもなく、ゴスロリでもない。

「本当の私を見てほしいから、好きな人に聞いてほしい」

そう前置きして、桃花はギターを弾き始めた。

桃花はギンギンにギターをかなで、ハイトーンボイスで歌い上げる。

ギンギンのヘビメタだ。

「桃花……」

ルカは目を疑った。

目の前で金切り声を上げる女は間違いなく、ルカの知らない桃花だった。

ギターのヘッドにタバコをさして、間奏の間、タバコをふかし、煙が悪魔の儀式のように立ち上る。