その後のルカとのやり取りで分かったことだが、愛子さんはすでに白血病を発症しており、むしろあそこまで生きたことのほうが奇跡だったらしい。
「医者が話していた余命より三年以上も長生きしてたらしいからね」
愛子さんを生かしていたもの。
それは舞ちゃんあり、山ちゃんだったのだろう。
山ちゃんが司法試験に通り、ホッとしたのだ。
そして山ちゃんとよりを戻し、舞ちゃんを預けることができる父親ができた。
やっと安心して天国へ行く準備ができたんだ。
最後に結婚式をしてやれたのは最大のプレゼントだったかもしれない。
これは桃花の推理なのだが、白血病が二人を結ぶ糸だったのかもしれない。
少ない余命の中で、子供を産みたいという意志と目の前の若き男性。
それが二人を恋愛に駆り立てたとしても不思議はないだろう。
愛子さんには型のあう骨髄がなかったらしい。
白血病は不治の病というわけではない。
なのに他人が骨髄を移植できる可能性は限りなく低い。
ただ舞ちゃんの骨髄の型は調べていない。
それはドナーの年齢制限が十八歳以上だからだ。
もし将来母親と同じ型だと知ったら、舞ちゃんはどう思うだろう。
そんなタラレバを考えながら、桃花はドナー登録をしようと考えていた。