「今日で沙希ちゃんとお別れだね」
翔太は沙希の視線に合わせるために、
膝をついて沙希と話し始めた。
「今度、試合に招待するからね」
「うん、絶対見にいくね」
「今日で沙希ちゃんの
笑顔が見られなくね」
翔太は本気でそう思った。
沙希の笑顔は自分だけじゃなく、
周りのみんなを幸せにしている気がする。
「沙希ちゃんには
ずいぶん救われた気がするから、
今度は僕がリンクで
みんなを励ます番だね」
「がんばってね」
「応援してくれるかな?」
「沙希は応援するよ」
「私だって……」
鈴音も言葉をはさんだ。
鈴音は軽い嫉妬さえ覚えた。
「ありがとう」
翔太は照れたように笑った。
