「今日も、可愛いね、桃花」
気になることがないわけじゃないんだけどね。
そう言ってルカが、べた褒めする私の姿って、森ガールなんだよね。
私って、ルカと会う時は、ヘビメタ姿の桃花じゃなくて、極力森の中の妖精のような森ガールのコスプレしてるわけ。
そうよ、森ガール姿って、私にとっては、コスプレだ。
すごく恥ずかしい。
私が私じゃないみたい。
分かってる、ルカがヘビメタ姿でもきっと愛してくれてるってこと。
でもルカと会ってる時だけは、かつらをかぶり、ルカが好きな森ガールの服装でいてあげたい。
それに森ガールでいていいことがないわけじゃない。
桃花のバンド活動は軌道に乗り、CD発売も決まっていた。
インディーズで火がつき、音楽配信では、少し人気が下降線の大樹より売れている。
そのせいでヘビメタの服装をしてると、顔をさされる。
そう、森ガールに変装してたら、誰も気がつかない。
ルカと腕を組んでても、森ガール姿だと、ラブラブでいられる。
森ガールファッションってそんな使い道があったなんて、素敵じゃない。