タイトル「森ガールと盛りあガール」 119 | 可愛い君に愛を囁きたい

桃花がライブを終えて、外に出ると、ルカが立っていた。

ルカは桃花を見ると、いきなり泣き出した。

おい、おい。泣くなよ。

キャバ嬢のアケビちゃんが店を変わって、連絡が取れなくなったらしい。

貢いだ額、五百万円以上。

傷心を癒しにきたんなら、私のところに来るのは間違ってる。

「何やってんの。分かってるじゃない、キャバ嬢なんだから、あんたの金目当てに決まってるでしょ」

「本気で好きだったのに」

ああ、真面目な男だ。

騙されてもまだ恋してるなんて。

「本当に女見る目ないな」

 そう言いながら、そんな男が選んだ相手が自分だったことを思い出した。

 つまり、私って、あのキャバ嬢と同レベルってわけ?

 とにかく、その日は、仕方ないので、桃花は自分の部屋にルカを泊めることにした。

またルカがこの部屋に来ようとは思わなかった。

「あの女、元ヤンだったんだ」

「怖かったんだ?」

「そう、追いかけると、何度も蹴りいれられた」

なんてバカ、こんな男のどこがいいんだろう。

弱くって、弱くって、情けなくて、イケメン以外何の取り柄もないじゃない。

生活力ゼロ。

ああ、今私の腕の中で泣き続けるこのダメ男。

そんなダメ男を、やっぱり好きだなんて。

 ああ、困ったもんだ。

「ねえ、もう一度やり直そうよ」

 ルカは顔を上げて、桃花の目を見つめながら、そう言った。

「ヤンキーは苦手じゃなかったっけ」

「だって、ヘビメタとヤンキーは違うだろ」

「そうね。それはそうよ」

「じゃあもう一度付き合わない」

桃花は少し考えた。

でも、気持ちはすでに受け入れていた。

「やっぱ、桃花が一番好きだから」

ああ、こんな男のどこがいいんだろう。

 ルカは桃花にキスをした。

 溶けてしまいそうだった。

 いろんなことがとろけて流れ出してしまう。

 結局最後に残った言葉は、「好き」という気持ちだけだった。

 やっぱ、好き。

 理由なんてどうでもいいじゃない。

 だって好きなんだから、それが一番だって。

 ルカにキスされると幸せなんだから。

 それにこれでついに決着ついたじゃない。

 森ガールにも、盛りガールにも勝ったじゃない。